最近行ったコンサート
2000年5月
- 5月20日(土)鎌倉芸術館大ホール
鎌倉交響楽団第75回定期演奏会
指揮:三原明人
ドビュッシー:交響詩「海」
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調
ブル7に「海」という、なかなか意欲的なプログラムに惹かれ、大船まで出かけた。鎌倉芸術館は初めて。石造りの落ちついた建物で、中庭に竹林があるなど、古都鎌倉にふさわしいホールだった。
第75回ということだから、かなり歴史のあるオケである。メンバーも若い人から、年配の方まで揃っている。「海」は、最初はやや雑然としていたが、三原氏の巧みな棒さばきで生き生きとした音楽を創っていた。特に第1ヴァイオリンのきらきらとした音色が魅力的で、弓から弾き出された音符が舞台の上を漂っているような感じであった。ああいう音は、録音では絶対捕らえきれないだろうと思う。(そこがコンサートの良さ!!)
休憩をはさんでいよいよブル7。冒頭の弦のトレモロとそれに続くチェロ、金管の咆哮を聴いて、「これだ!!これがブルックナーの音だ!」と内心思わず叫んでしまった。決してきれいな音ではない。どちらかと言えば荒っぽい。しかし、全員が自分の音を出していた。偽りのない、正直な音を出していた。どうも最近、音はきちんと整っているが、単に音の迫力だけで聴かせようとするブルックナーが多いような気がする。僕は豪快で熱気があふれ出るような演奏が好みである(マタチッチやヨッフムなど)。鎌響はまさにそういう演奏だった。何よりも、第1ヴァイオリンの音!なんて魅力的な音を発していることか。非常に鮮明で、きらきら光るような音。これほど個性的な音を持ったオケは日本にあまりないのでは(プロ含めて)。他のパートもなかなか粒ぞろいだと思う。
そしてこの演奏の最大の貢献人は指揮者三原氏。テンポ、フレーズのつなぎ方、各楽器のバランスが実に見事で、本当に生き生きした音楽を創ってくれた。ヨーロッパの香りを感じる演奏だった。僕は寡聞にして彼のことを今日まで知らなかったが、1989年のキリル・コンドラシン指揮者コンクールで第2位となり、以後日本、海外で活躍中の指揮者である。彼の演奏を聴いていると、いかに彼がブルックナーを愛しているかがよく分かる。彼にとってブルックナーは何も意識することなく感じられる存在なんだと思う。そしてその思いをオケに伝えることができるところが彼の力であると思う。その指揮姿と音楽を聴いていると、とてもまだ39歳の指揮者には見えない。もうすでに巨匠の風格が漂っていた。
ひたすら音楽に集中する指揮者と、それを全面的に信頼している楽員との相乗効果により実に輝かしいブルックナーを演奏してくれた。70分があっという間に感じられた。これほど精気に満ちたブルックナーは一生に何度も聴けないかもしれない。座った席が1階真ん中の中央で、すこぶる音がよいことも手伝って、至福の時間を味わった。
アンコールは打って変わって、J.シュトラウスの「南国の薔薇」。ブルックナーのあとにアンコールなんて、と思うかもしれないが、これまた絶品であった。なんと美しい音楽!まるでウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートを聴いているような気分。もっと聴かせて、と言いたかったくらい。
今後、指揮者三原明人氏と鎌倉交響楽団には大いに注目しよう!
- 5月27日(土)東京オペラシティ
アルディッティ弦楽四重奏団の20世紀マラソン
第1ヴァイオリン:アーヴィン・アルディッティ
第2ヴァイオリン:グレアム・ジェニングス
ヴィオラ:ドヴ・シンドリン
チェロ:ローハン・デ・サラム
シュニトケ:弦楽四重奏曲第2番(1980)
細川俊夫:沈黙の花(日本初演)(1998)
西村朗:弦楽四重奏曲第2番<光の波>(1992)
CDを買いにぶらっと出かけたついでに弦楽四重奏のコンサートに行ってきた。これがちょっと変わった演奏会で、曲目はすべて20世紀の弦楽四重奏のための音楽。午後1時から午後8時まで休憩をはさみ4部構成。私が行ったのは最後の第4部のみ。実演が滅多にない曲も多く、現代音楽ファンにはこたえられないプログラムだと思う。(逆にそれ以外の人にとっては耐えられないプログラム?)
シュニトケは冒頭、弦の音とは思えないような不思議な音(グラスハーモニカのよう)で始まる。ところどころミニマルミュージックのようになる。最後は冒頭と同じ音が出てきて終わる。つづく細川俊夫の曲は尺八や三味線を思わせる音づくり。西村の曲は研ぎ澄まされた狂乱状態の音楽で、なかなか圧倒させるものがある。日本人の2曲は終演後、作曲者本人が舞台に登場していました。
だが、やはり楽しめる音楽ではなかった。どれも聴覚的に刺激的な音楽なのだが、五感には触れてこなかった。ところどころ退屈でうとうとしてしまったほど。アルディッティ弦楽四重奏団の熱気あふれる演奏には魅せられた。こんな曲ばかり通算4時間も演奏を続けるなんて!想像を絶する。すごいと言うほかない。が、やっぱり現代音楽は私のような人間からは遠いところに行ってしまってるなと思わざるを得ない。まあ、今日1日全部聴いたら好きな曲が1つぐらい見つかったかもしれないが・・・。
お客さんの年齢層は若い人からお年寄りまで結構幅広い。それに若い女性がわりと目についたのが意外。カップルらしき人も。でも、空席はけっこうあったもののこれだけ人が集まるとは、さすが東京と思いました。
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