最近行ったコンサート
2000年10月
- 10月14日(土)東京文化会館大ホール
都民交響楽団第90回定期演奏会
ソプラノ:菅英三子
指揮:末廣誠
管弦楽:都民交響楽団
リヒャルト・シュトラウス:「四つの最後の歌」
マーラー:「交響曲第9番」ニ長調
公演の数日前にインターネットでこの演奏会を知って行きたくなった。申し込みはすでに終了していた(無料なのです)が、メールで問い合わせたところ当日残席があればOKということだった。都民響のホームページには確か18:30開演とあったのだが、実は18:00開演で、最初のリヒャルト・シュトラウスは聴けなかった。残念…。
最近リニューアルをした東京文化会館に来るのは初めて。ロビーが少し明るい雰囲気になった気がする。座席も新しくなった模様だが、ホールの雰囲気はそのまま。さて、マーラーの9番。生で聴くのは初めて。3階席だったが、音はちゃんと聞こえる。やはりよいホールである。
演奏はとてもよかった。弦、木管、金管とも安定していて、安心して聴いていられる。そしてこの複雑な曲をすっきりと自然な流れでまとめあげた指揮者末廣氏の力量は相当なものだ。特に第3楽章後半の躍動感がすばらしく、一部から拍手がこぼれたほど。しかし・・・、それでもよく分からない曲だ。第4楽章を除いて。第4楽章は心に訴えてくるものがある。マーラーならではの熱い熱い感情の吐露、音楽という表現手段の限界を突き詰めるような悲痛な叫び。そして終結部、この世界に別れを告げ、静かに、ひっそりと息を引きとっていく。人生は悲しみ、喜び、苦悩に満ちているが、死ぬときはそれがどんな人生であったろうと、誰もにこの静寂な世界がやってくるのだろうか。
しかし、やはり難解な曲である。演奏するほうにも聞き手のほうにも相当の気力を要する。疲れた・・・。
- 10月22日(日)戸田市文化会館ホール
戸田交響楽団第29回定期演奏会
指揮:笹崎榮一
リヒャルト・シュトラウス:楽劇「ばらの騎士」演奏会用組曲
ブルックナー:「交響曲第8番」ハ短調(ノヴァーク版)
ブルックナーほど演奏に指揮者の個性の違いが現れる曲はないと思う。特に、この8番は演奏時間が80分もかかる大曲である。
最初はR.シュトラウス。全部で6曲からなる組曲ですが、4曲目の「オックス男爵のワルツ」以外は要領を得ない曲。オケはとてもうまかったのですが。もっとももとのオペラを見てみる必要があるかもしれません。ホールは残響が少なく、オーケストラには厳しいか・・・。
さて、ブルックナー。オーケストラはほんとうによく揃っていて感心しました。相当練習したのではないでしょうか。余裕も感じられます。ただ、これは指揮者の笹崎氏の個性だと思うのですが、全体に速めのテンポで、表現があっさりしています。変なところ、おかしいところは全くなく、ほとんど完璧に音が鳴っているのですが、なぜか迫ってくるものが希薄なのです。ティンパニもちゃんと鳴っているのですが、感情をむき出しにすることはない(第1楽章の後半、第2楽章など力強いところはありましたが)。終楽章のコーダもテンポに変化をつけて工夫していましたが、効果はいまひとつだったような気がします。
本当にブルックナーは難しい作曲家だと思います。私の大好きな指揮者、ジョージ・セルもこの曲を録音していますが、とても正確な演奏なのに関わらず何か違うのです。簡単に言ってしまうなら、野性っぽさとでも言いましょうか、楽譜をはみ出るような感情の表現がないと言いましょうか。
でも、この演奏を聴いてから久しぶりにこの曲がマイブームになって、いろんなCDをとっかえひっかえ聴いています。やっぱりいい曲ですねぇ。
- 10月29日(日)神奈川県立音楽堂
ファンタジア〜團伊玖麿 室内楽の世界
ヴァイオリン:小林武史(b),川田知子(c),ライナー・キュッヒル(d,h),千住真理子(f)
ピアノ:梅村祐子(b,c,d),中村紘子(i)
フルート:大和田葉子(e)
ハープ:スザンナ・ミルドニアン(e)
チェロ:吉井健太郎(g,h)
東京ファゴッティアーデ(a)
東京ゾリスデン(j)
4本のファゴットのためのソナタ(a)
ヴァイオリンとピアノのためのファンタジー第1番(b),2番(c),3番(d)
フルートとハープのための<羽衣>(e)
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番(f)
無伴奏チェロ・ソナタ(g)
ヴァイオリンとチェロのための<対話>(h)
ピアノ組曲<三つのノヴェレッテ>(i)
二つのソロ・ヴァイオリンと弦楽合奏のための<古雅なるファンタジア>(j)
久しぶりに家族そろってコンサートに行った。今年は團伊玖麿氏の作曲活動60周年ということでDAN
YEAR2000と称し、全国31もの演奏会で團氏の曲が演奏されるそうである。今日はすべて室内楽。神奈川県立音楽堂は桜木町から歩いて7,8分のところ。かなり歴史のあるホールで、豪華なところは何もないが、最近の新しいホールにはない親しみやすさを感じる。
15:00開演で18:50す終了というかなり長丁場のコンサート。全体的な印象を言えば、團氏の音楽はいわゆる現代音楽のとっつきにくさはほとんどなく、言ってみれば良識的な音楽。作風は多彩で、ひとことでは言えないが、ラヴェルのような響きがときどきした。フルートとハープのための<羽衣>は、この楽器の組み合わせから想像する音楽そのもの。実に優雅。印象に残ったのは、かなりの超絶技巧を極める無伴奏バイオリン・ソナタ第2番とピアノ組曲。中村紘子のピアノはいつにも増して力強く、相当の気合の入れよう。
最後にようやく團氏本人がステージに登場し、大きな拍手に応えていた。今日聴いたのは彼の音楽のほんの一部である。彼は有名なオペラ「夕鶴」をはじめ、6つの交響曲を書き、「ぞうさん」という童謡を書き、さらには「パイプのけむり」という雑誌の連載で文筆家としても知れている。こんなに幅広い活動をしている人はほとんどいないだろう。今日聴いた限りでは、いま一つぴんと来るものがなかったというのが正直なところだが、彼が驚くほど多彩な人間であることはよく分かった。
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