最近行ったコンサート
2000年12月
- 12月2日(土)京都コンサートホール大ホール
ジャン・ギュー パイプオルガンリサイタル
J.S.バッハ:「前奏曲とフーガ」ニ長調 BWV532
ジャン・ギュー:「アンドロメダ」作品39
J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番BWV1068より「アリア」(ジャン・ギュー編)
J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番BWV1067より「バディネリ」(ジャン・ギュー編)
リスト:交響詩「オルフェウス」(ジャン・ギュー編)
プロコフィエフ:歌劇「3つのオレンジへの恋」より「トッカータ」(ジャン・ギュー編)
ジャン・ギュー:「オルガンの国のアリス」作品53
ジャン・ギュー:与えられたテーマによる即興演奏
ソプラノ,ナレーション:岡田清子
京都コンサートホールは2回目。前に来たのは1998年10月。あのときはルドルフ・バルシャイ指揮京都市交響楽団でショスタコーヴィチの7番を聴いた。あのときの見事な演奏は忘れられない。ホールは木目調の落ちついた感じ。天井の凹凸が印象的。ステージ後方、やや右よりにパイプオルガンがある。今日はステージの真ん中にオルガン用の鍵盤が置いてある。
ジャン・ギューという名前は聞いたことがある。FMでベートーヴェンの「運命」のオルガン編曲版なんてのを聴いた覚えがある。今日は自作も含まれており、どんなコンサートになるか。ステージに出てきたギュー氏は髪はすでに白髪(今年70歳)だが、鍵盤さばき(と足のペダルさばき)は実に見事だった。
バッハの第1曲目、途中、ずいぶん派手に不協和音が奏でられる箇所がある。バッハが相当に前衛的な作曲家だったことを改めて知る。2曲目のギュー氏の自作。ソプラノつきの音楽。いかにも現代音楽的な音楽。ソプラノの岡田さんはなかなかの美声を聴かせてくれたが、歌詞の内容もわからず、よく分からない曲。バッハの有名な2曲のあと、リスト。原曲は知らないが、なかなか複雑な曲。ずいぶん現代的な音楽に聞こえた。前半最後はプロコフィエフ。これも原曲は記憶にないが、確かにプロコフィエフの音楽。
後半はギュー氏の自作。岡田さんの日本語のナレーションが入り、何だかほっとする。「オルガンの国のアリス」は聴いてみて分かったのだが、一言でいえばプロコフィエフの「ピーターと狼」のオルガン版のようなもの。要するに、パイプオルガンのさまざまな音色を物語風に紹介するという趣向。ストーリーは「不思議の国のアリス」に名を借りた創作。ナレーションがあるから意味は分かるものの、音楽はギュー氏の趣味らしく技巧的でかなり現代的。それよりも岡田さんの入魂のナレーションがすばらしかった。
最後はギュー氏の即興演奏。封筒に入った3つのテーマを基にした即興。ギュー氏が開けた封筒には、「ジングルベル」、「聖しこの夜」、「もろびとこぞりて」(でよかったかな?)の3曲。即興は最初の2曲のテーマを中心に展開。阿修羅のように音楽を操るその技巧は見事だったが、「すごいね」で終わってしまう気もしないではない。
岡田さんと2人ステージに現れ、アンコール。岡田さんの歌でドヴォルザークの「わが母の教え給いし歌」。今までが耳に刺激的な曲が多かったのでほっとする。そして最後はギュー氏のオルガンでチャイコフスキーの「こんぺい糖の踊り」。ちゃんとチェレスタのような音が出せるんですね。
今日はギュー氏のオルガンリサイタルでしたが、岡田さんのソプラノとナレーションがすばらしかったな。本当はギュー氏をたたえるべきなのでしょうけど、ちょっと耳が疲れたので岡田さんのきれいなお声に軍配を上げたいと思います。
- 12月3日(日)ティアラ江東
新宿交響楽団第20回定期演奏会
指揮:高畠浩
ベートーヴェン:「交響曲第8番」へ長調作品93
ショスタコーヴィチ:「交響曲第10番」ホ短調作品93
ショスタコの10番をやると知って行ってみました。最初はベートーヴェンの8番。これがとてもよかった。オーケストラのメンバーは若い人からいいお年の方までかなり幅広い。8番を生で聴くのは実に久しぶり。というかCDでもあまり聴いてないですね。好きな曲ではあるんですが、こんなに愉しい曲とは!!ここには5番や9番で見せるような近寄り難さがまったくない。ハイドンの交響曲に通じるような音楽の喜び。演奏はとてもはつらつとしていて、踊り出したくなるほど。ベートーヴェンの9つの交響曲で一番演奏していて楽しいのはこの8番ではないでしょうか。高畠さんの指揮もこの曲のユーモラスな面をよく引き出していてよかったです。
さて、後半のショスタコーヴィチ。実に暗い暗い物々しい始まり方。クライマックスを形成するが再び静かになり、当て所もなくとぼとぼとさまようよな音楽になる。第2楽章は長い交響曲の中で5分にも満たない短い楽章。スターリンの圧政を示すとされるテンポの速い激しい音楽。実にかっこいい曲で、私は10番のCDを取り出してはこの楽章ばかり聴いています。今日の演奏もリズミカルで打楽器も決まっていました。第3楽章は主題が繰り返し現れる。途中に何度か出てくるホルンの忠告のようなメロディーが印象的。第4楽章、行進曲のような音楽となり、第2楽章のテーマも回想される。そして熱に浮かされたように華やかに終結。
オケはこの難曲を熱気に満ちた演奏で聴かせてくれました。指揮の高畠さんも相当ベテランと見え、実に見事にまとめあげていました。正直言って、難解な曲で、第2楽章を除いては共感しがたいところもあるのですが、オケは大健闘でした。
- 12月9日(土)イイヅカコスモスコモン(福岡県飯塚市)
九州工業大学交響楽団第8回定期演奏会
ピアノ:津田理子
指揮:佐藤迪
ヨハン・シュトラウス:喜歌劇「こうもり」序曲
ベートーヴェン:「ピアノ協奏曲第5番」
シューベルト:交響曲第8番ハ長調D.944「グレイト」
九州のアマオケの情報を入手できるのも、アマオケの演奏会情報を提供している"Freude"のページのおかげ。インターネットがなければこうして気軽にひょいひょいとあちこちのコンサートに顔を出すのも難しいことでしょう。ありがたやありがたや。
さて、九州工業大学は北九州市戸畑区にある工学部と飯塚市にある情報工学部の2つのキャンパスを持つ国立大学。筑豊本線の新飯塚駅から歩いて約20分のところに立派なホールがあった。飯塚はかつての炭坑の街というイメージがあり、もっと錆びれた感じかと思ったが、予想以上ににぎやかな街だった。福岡の天神までバスが10〜20分おきに所要50分で出ているほどだから、これもうなづける。イイヅカコスモスコモンは派手さはないがどっしりとした印象のホール。できてからまだそれほど年数は経っていないと思われる。大きなホールだが、席はほぼ満席に近かった。
指揮者登場。プロフィールによれば佐藤氏は50歳くらいか。最初の「こうもり」序曲。ウィンナ・ワルツの独特の3拍子をかなり意識してちゃんと表現していました。
その次は「皇帝」。ソリストには津田理子(みちこ)氏を迎える。女性の年齢を言うのはあれだが、指揮者と同じくらいとだけ申し上げましょう。いくつかの国際コンクールの入賞暦を持つベテラン。私はお名前はなんとなく存じていましたが、それ以外は何も知りませんでした。今はスイス在住ということですから、わりと息の長い演奏活動をされていると思われます。序奏に続くピアノ。あっさりとした弾き方。わりとさらりと弾かれるので、はじめは「ずいぶんおとなしい皇帝だな・・・。」と思いましたが、聴いているうちに彼女の持ち味が見えてきました。
フォルテッシモでも轟くような音は決して出しません。そしてそれよりもピアニッシモの美しさ!!真珠のような淡い光を放つような音、とでも言いましょうか。そして確実なテクニック。プロですからテクニックがあるのは当たり前かもしれませんが、津田さんのピアノは「テクニックを武器にする」ようなところが全然ないのがいい。ワルター・ギーゼキングを思わせます。あの音でモーツァルトを聴きたいなと思いました。オケも力強い伴奏をしていてよかったと思います。
後半は「グレイト」。生で聴くのははじめて。最初この曲を聴いたときは何だかよく分からない曲でしたが、何回か聴くうちにこの曲独特の魅力に惹かれるようになりました。旋律は平明で分かりやすいのですが、それが単調に長々と続くという印象もなくはない。しかしその壮大なる素朴さに圧倒されます。オケは音が厚く、特に金管が音がでかくきれいで立派。のびのびとした演奏がいい。第1楽章、この曲、ピアノで弾いたらはまるんじゃない?と思う。第2楽章はさすらう吟遊詩人といった感じ。聴いているうちに、この曲、ブルックナーの交響曲に通じるものがあるなと思った。自然の歌を感じさせるところ、素朴さの点で。終楽章の盛り上がり方など、ブルックナーの5番の交響曲の終楽章を思わせる。というか、本当は話が逆で、ブルックナーがシューベルトに似ていると言うべきだが。
アンコールはシューベルトの「ロザムンデ」第2幕への序奏。シューベルトならではの優しい歌である。大きな拍手に続いてもう1曲。いきなり楽員が全員サンタの帽子をかぶる。クリスマスのメドレーだ。有名な曲からそうでもない曲まで6,7曲は出てきたかな?なかなかの名アレンジで、最後は大迫力で終了。これは満足満足。いやいや、盛りだくさんのコンサートでしたね。
終演後、ロビーに出るとアンコールは「クリスマス・フェスティバル(ルロイ・アンダーソン)」とあった。そうか、ルロイ・アンダーソン大先生のアレンジだったんですね。大いに納得。
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