最近行ったコンサート
2001年1月
- 1月13日(土)彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
彩の国ブラームス・プロジェクトT
ブラームス:「ピアノ協奏曲1番」ニ短調 作品15
ブラームス:「交響曲第1番」ハ短調 作品68
ピアノ:園田高弘
指揮:現田茂夫
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
今年の初コンサートは大好きなブラームスから。さいたま芸術劇場は埼京線の与野本町駅から歩いて10分弱のところ。音楽ホールは思ったより小さく、どちらかと言えば室内楽向けの中規模のホール。
最初は協奏曲。この曲は第2番の協奏曲と共に私の大のお気に入り。ピアノの園田氏がさりげなく登場。園田氏の演奏は昨年の2月の愛知県碧南市でのコンサートに続いて2回目。ティンパニの轟きに続く弦の音を聞いて、ホールの音響がかなりデッドな感じであることに気づく。そして、弦の美しさに、「おっ、やっぱりプロの音だな。」と感じる。神フィルを聴くのは今日が初めて。昨年9月から今日指揮している現田氏が常任指揮者となっている。しばしの序奏の後、ピアノが入る。園田氏のピアノは概ねインテンポで、よけいな表情付けはしない。もうかなりよいお歳であるが、テクニックは衰えを感じない。だが、やはりこれは相当の難曲だと思う。弾きにくいだろうな〜と見ていて思う。「質実剛健」というのが園田氏のピアノの持ち味かもしれないが、もう少し感情を表に出して表現してもいいかなと思った。第2楽章は少々退屈だった。しかし、第3楽章は彼の本領発揮。堂々とした強い打鍵は迫力があった。
そして、オケのバックがすばらしい!特に現の美しさ。音量が大きく、しかもまったく濁らずうるさくならない。メンバーの平均年齢はかなり低く、20代、30代のプレーヤーが多く、男性よりも女性が多い。容姿で人を判断するのはナンセンスだが、茶髪の方、男性のピアス姿も見えました。普通のプロのオケとは雰囲気がちょっと違う。
そして、交響曲。これが予想を上回るすばらしい演奏だった。冒頭の大河が流れるような音楽。ヴァイオリンの美しさ!陶酔させる美しさです。聴けば聴くほど、この現田&神フィルの名コンビぶりが伝わってきます。現田氏は何も特別なことはしません。しかし、それがすごい。本当に最初から最後まで、奇をてらったような、変わったことは全くしませんでした。それなのに、沸いてくる音楽の何と生命力にあふれていること!彼の音楽は楽譜から出てくるのではなく、ハートから出てくるものなのでしょう。実際、彼の前に譜面台はありません。彼の辞書には「解釈」などという言葉はないのでは。音楽は解釈するものではなく、心を表現するものということでしょうか。しかも、それをオケの楽員一人一人に浸透させていることがすごい。音楽家は、どうやって自分の個性を出していけばいいかと、常に新しい解釈を模索していくというのが一つの方向ですが、この人は違う。何も細工しない。正直に音楽をやる。そうする自信が彼にはあるんだと思います。
楽員の集中力もすばらしい。コンサートマスターなど、力が入るあまり、腰が椅子から浮くこともしばしば。この方にしても実に若い。まだ30歳前後でしょうか。ステージに出てくるとき、ヴァイオリンをひょいとぶら下げて出てくる。これがなかなかかっこいい。「よおし、ちょいと音楽やるか!」という感じ!?きっと彼には女性ファンがたくさんいることでしょう。
最初から最後まで息を止めて一気に聴いた感じでした。現田氏のさっそうとした指揮にビビッドに反応するオーケストラ。実に若々しい音。いままで聴いたプロの中で「最もアマチュアに近いオケ」だと私は思います(もちろん誉め言葉です)。技術は一流、心も意欲に満ち満ちている。これこそプロの模範、と思います。このコンビ、今後、要注目です。刺激的な演奏を聴きに行きたいなら、他のオケに行けばよいですが、音楽を聴く喜びに浸りたければ、現田&神フィルがその期待に必ず応えてくれるでしょう。
- 1月27日(土)大田区民プラザ 大ホール
ヴィルトーゾ・フィルハーモニー管弦楽団第11回定期演奏会
ショスタコーヴィチ:「ピアノ協奏曲2番」ヘ長調 作品102
ヘンデル:組曲「水上の音楽」(ハーティ編)
ブラームス:「ピアノ協奏曲1番」ニ短調 作品15
ピアノ:伊藤理恵
指揮:山元富雄
面白いプログラムに惹かれて出かけたが、別の用件で会場(東急多摩川線下丸子駅前)に着くのが遅れ、ショスタコの終楽章の途中からしか聴けなかった。なかなか聴けない2番だけに残念...。「水上の音楽」は生で聴くのは初めて。2曲目のAirを聴いているうちに、心地よくなりしばし瞑想(半寝とも言う)。でもこの心地よさこそバロックの醍醐味、という気もしてくる。
休憩をはさんでブラームス。この前聴いたばかりだが、この曲は好きなので何度聴いてもいい。ピアノの伊藤理恵さんを聴くのは初めて。経歴を見ると、音大を中退し、いったん会社に入った後、再び音楽の世界に戻り、指揮とピアノで活躍されているという。
オケはわりと小編成だが、技術的にはかなり高水準。メンバーは30代〜40代が中心の感じ。指揮の山元さんは都響のトロンボーン奏者とのこと。冒頭からしっかりした出だし。伊藤さんのピアノはやや小粒なところもあるが、テクニックはすばらしい(今日のプログラムを見ても自信のほどがうかがえます)。ブラームスを得意としているだけあって、演奏にも力が入り、テンポルバートも堂々としたもので、自分の音楽として表現されていました。オケの伴奏がまたすばらしく、ピアニストにぴったりとついていくのはもちろん、オケパートもじっくり歌い、力強さもありました。これは指揮の山元さんの手腕でしょう。ブラームスらしいブラームスを堪能させていただきました。
盛大な拍手に応え、伊藤さんのアンコール。やっぱりこだわりのブラームス。カプリッチョ嬰ハ短調Op.76-1。その静謐さこそブラームス!さらに有名なワルツ第15番。う〜ん、伊藤さんのブラームス、もっと聴いてみたいぞ。(2月13日にオール・ブラームス・プロがあるみたいですが、平日だしな・・・。)
ホールを出ると、昨晩から1日中降り続いていた雪は、雨に変わっていました。
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