最近行ったコンサート
2001年3月
- 3月9日(金)カザルスホール
仲道郁代ピアノ・リサイタル
ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第28番」イ長調
作品101
ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第21番」ハ長調<ワルトシュタイン>
作品53
シューベルト:「即興曲」変ロ長調 作品142-3
シューベルト:「即興曲」変ホ長調 作品90-2
ショパン:「バラード第1番」ト短調 作品23
ショパン:「ポロネーズ第6番」変イ長調<英雄>
仕事で都心に出たついでにコンサートに行く。東京駅18時半。常に「ぶらあぼ」を携帯しているのが幸い。駅のエスカレーターに乗りながらパラパラ今日のコンサートを探す。”仲道郁代=カザルスホール”、プログラムもなかなかいい。中央線で2つ目、御茶ノ水で下車。
仲道さんの演奏を生で聴くのは初めて。CDやFMでも熱心に聴いたことことがないというのが正直なところ。そもそもピアノのリサイタルを聴きに行くこと自体、あまりないのです。いつもオケばっかりですから。カザルスホールは日本の本格的な室内楽専用ホールの先駆けとなったホールです。私も好きなホールのひとつ。
会場は1階はほぼ満席。客席の照明が落ち、グリーンの爽やかな衣装を着た仲道さんが登場。最初はベートーヴェンのソナタ28番。たぶん聴くのは初めて。最初はさりげなく始まり、ゆったりした曲調が続きます。途中から激しい音楽になったり、フーガ調になったり、多彩な曲でした。ある意味、ちょっと難解で哲学的な曲に聞こえました。仲道さんのピアノは、弱音が美しい!フォルテにはもう少し深さがあったらいいかなという気もしましたが、それは次の「ワルトシュタイン」で吹っ飛びました。
客席に向かってお辞儀をして座った瞬間にもう音が出ていました。改めて言うことではないかもしれませんが、テクニックのすばらしさ!弾いたことがない(当たり前!)ので分かりませんが、この曲は技巧的な難しさで言えばトップクラスではないでしょうか。それにしても彼女の何と強い表現意欲のこと!それは単にピアノを弾くという行為を超えて、彼女熱い魂が目の前に見えてくるようでした。万雷の拍手に応える仲道さんはどちらかと言えば小柄な方で、本当にいま演奏したのは彼女だったかと思ってしまうほどでした。「ワルトシュタイン」はベートーヴェンのソナタの中で最高傑作ではないかと私は思います。まさに人類の至宝。人間の持つ計り知れないエネルギーに感動しながら、紅茶をすすりました。(チケットに紅茶とお茶菓子券がついていたのでした。)
休憩をはさんで、シューベルト。作品90と142の8曲の即興曲は私の好きな曲。作品142-3、冒頭の主題が変奏を重ねていく。春の草原でぼーっと日向ぼっこをしているような、ゆったりとした時間が流れる。作品90-2は5分ほどの短い曲ですが、光と陰がうつろうような曲。これぞシューベルトの世界。
次はショパンのバラード第1番。久しぶりにこの曲を聴きましたが、冒頭の何度もためらうような曲調、最後の劇的な結末、ショパンの心情が深く投影された曲としてこれも彼の最高傑作に挙げられる作品だと思います。仲道さんの演奏はやはりその見事なテクニックに唖然とさせられると同時に、完全に彼女の音楽となっているところがすばらしく、会場からは感嘆の声が漏れました。最後は「英雄ポロネーズ」。もう、感想などどうでもよく、彼女のピアノを聴いているだけで満足でした。
アンコールは、メンデルスゾーンの無言歌集から「ベネチアの舟歌」、「つむぎ歌」。ショパンの「ワルツ」嬰ハ短調作品64-2。そして最後にエルガーの「愛の挨拶」。美しい演奏とともにその美しいお姿に魅了されました。
仲道郁代さん、ときどきテレビでお話されているのを拝見したことはありましたが、遅ればせながら、すばらしいピアニストをまた一人知ることができました。また機会があったらリサイタルに行ってみたいと思います。
- 3月24日(土)パルテノン多摩 大ホール
多摩シティオペラ公演
プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」全4幕(原語上演)
演出:大島尚志
指揮:富澤裕
キャスト
ミミ:黒岩千尋/ロドルフォ:黒岩克彦/マルチェルロ:中瀬日佐男/ムゼッタ:依田昌代/ショナール:大澤恒男/コルリーネ:伊藤智之/アルチンドロ:田中稔/ベノア:内田雅人/パルピニョール:萩原耕太/税官吏:内田雅人/軍曹:上条力秀/子供:生田有里
副指揮:辻端幹彦
合唱:多摩シティオペラシンガーズ
児童合唱:多摩ファミリーシンガーズ
バンダ:多摩大学附属聖ヶ丘中学・高校吹奏楽部
助演:多摩演劇フェスティバル実行委員会
管弦楽:東京モーツァルト室内管弦楽団
近所でオペラをやると知って行ってみた。パルテノン多摩は家から一番近い音楽ホールだが、あまり行く機会がない。
「オペラ」。私にとってこのジャンルは全く手がついていない領域なのです。食わず嫌いそのものなのですが、CDで聴くオペラはやはりどこかもどかしいのです。何か違う。やっぱりオペラは生がいいのではと思いつつも、今日まで機会がありませんでした。
さて、この多摩シティオペラは1998年にこのパルテノン多摩の開館10周年記念事業として喜歌劇「こうもり」を上演したのが始まりという。その後毎年、オペラの魅力を紹介する催しを開催してきたようですが、本格的なオペラ全曲上演は今回が初めてのよう。「ラ・ボエーム」と聴いて思いうかぶのは、「私の名前はミミ」、「ムゼッタのワルツ」ぐらいなもの。話の筋も初めて知りました。
開場前から長い列ができるなど期待の高さがうかがえます。会場はほぼ満席。舞台前にはオケ・ピットがつくられています。
幕が開く。雑然とした屋根裏のアトリエ。画台とテーブル、ストーブがあるだけだが、雰囲気はよく分かる。男が4人。出演者の経歴を見ると、音大卒の方もいるが、そうでない方も少なくない。でもさすがにみなさんいいお声。だが、台詞が分からないのはやはりもどかしい。手振り身振りから想像するしかない。(プログラムにはあらすじは載っていますが、歌詞全訳はない。)途中からミミさんが登場。有名な「私の名前はミミ」は第1幕の最後に出てくるんですね。15分休憩で第2幕へ。
幕が開く。「クリスマス・イヴでにぎわうパリ市街」。凝ってはいないが最小限のセットで十分雰囲気を伝えている。本当にパリの街にいるような気がしてくる。買いものに、パレードに賑わう人々。色とりどりの服を着た少女たちがはしゃぎ回っている。子供がいるだけでこんなに華やかになるんですね。地元の中学・高校の吹奏楽部が軍楽隊として登場するなど、演出のうまさが光ります。その楽しさに思わず心を奪われました。この楽しさは音楽を聴いている時の楽しさとはちょっと違う感覚。
第3幕。雪が降る夜明けのアンフェール門。雪は紙吹雪で演出。いい感じで降っています。(掃除が大変そう...。)ミミは病に犯されていく。
終幕。再び屋根裏部屋。病のミミがロドルフォの元を訪れ、愛を交わす。しかし、ついにはミミは旅立ってしまう。音楽が静かに終わる。わりとあっさりした終わり方でした。
歌詞が分からない、にも関わらず飽きずに最後まで見れたのは、プッチーニのテンポのよい音楽のお陰だと思いました。当たり前ですが、オペラに音楽は必要だなと素直に実感しました。そして、陰に隠れがちでしたが、オケのきびきびした演奏はとてもよかった。東京モーツァルト室内管弦楽団はモーツァルトのオペラ22曲全曲演奏をめざしているというだけあって、舞台との呼吸もなかなか手慣れたものでした。
今年の秋には「魔笛」全2幕の日本語上演をやるそうなのでぜひ行ってみたい。何より気軽にオペラに親しむ機会を提供してくれる功績は大きいと思います。料金も驚くほど安いですし(たった2500円!)。これからも地元の多摩シティオペラを応援しま〜す!
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