最近行ったコンサート
2001年6月
- 6月9日(土)大田区民ホール アプリコ
横浜フィルハーモニー管弦楽団第45回定期演奏会
R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」作品20
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」より<前奏曲とイゾルデの愛の死>
ブラームス:「交響曲第1番」ハ短調作品68
指揮:長野力哉
このホールは2回目。確か前回は東工大オケの演奏会だった。蒲田駅のすぐ近くで交通の便がいい。私がコンサートに行く行かないを決めるのは、演奏者に興味があるか、曲目がいいかのどちらかだが、アマオケの場合、よっぽど気に入ったオケ以外は演奏曲目で決めることが多い。今日もそのパターン。特に「ドン・ファン」は(というかR.シュトラウスの曲自体)アマオケではあまり取り上げてくれないので、楽しみ。
ホールはほぼ満席で、オーケストラの人気の高さがうかがえます。「ドン・ファン」はR.シュトラウスの曲の中で一番親しみやすい曲だと思います。オーケストラの醍醐味を味わうには最適の曲です。冒頭から快調な出だし。金管が元気がいい。特にトランペットはうまい。技術的にかなり難しそうなところもありますが、オーケストラは健闘していました。
次は、「前奏曲とイゾルデの愛の死」。この曲も生で聴いてみたかった曲。冒頭のチェロが美しい!若干粗さのあったドン・ファンとは打って変わり、完璧なアンサンブル。この落ち着きと静けさは、オケの技量はもちろんですが、指揮者の長野さんによるところが大きいでしょう。長野さんはベルリンで研鑚を積まれた方とのことですが、さもありなんと思わせる音造りをされます。目隠しをしたらドイツのオケと間違えるかもしれません。オーケストラも完全に曲の世界に入りこみ、一心に演奏しているのが分かります。クライマックス、弦が”レ”の音を持続するところ、何秒続いたか分かりませんが、一瞬ホールの時間が止まったような感じがしました。ヴァイオリンは弓を大きく何度も上下させてレの音を出し続けるのですが、奏者によって必ずしも同じ速度ではなく、想い想いに弾いているのですが、その一体となった音に圧倒されました。よく官能的と評されるこの曲ですが、確かに足の裏をくすぐられたときのくすぐったさとある種の快感を覚えました。この”レ”の間、私は息ができませんでした。そして会場が一瞬凍りつくのを感じました。ワーグナーが病みつきになる理由の一つが分かったような気がします。
休憩をはさんでブラームス。弦主体の音楽はやはりドイツらしさを感じます。音の膨らみ、受け渡し、呼吸にまったく無理がなく、指揮者の経験を感じさせる力演。こんな実力のある指揮者を知らなかったとは。プロオーケストラもよく指揮されているようなのでぜひ行ってみたいと思います。私が言うのも失礼ですが、この指揮者は本物です。アンコールはブラームスのハンガリー舞曲第5番。これだけ聴いても、この指揮者のすばらしさが分かります。元気がいいだけの演奏ではなく、落ちついた渋さがあります。会場も大いに沸いていました。
- 6月24日(日)相模原教会
相模原教会バロック・コンサート”バッハのカンタータ”
コレルリ:合奏協奏曲ニ長調作品6-7
グルック:オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」より”精霊の踊り”
ヴィヴァルディ:ファゴット協奏曲ニ短調作品45-7
ヴィヴァルディ:2つのオーボエのための協奏曲ニ短調作品42-2
バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043
バッハ:カンタータ180番「装いせよ、おおわが心よ」より第1曲”合唱”
バッハ:カンタータ36番「喜び勇みて羽ばたき昇れ」より第7曲”ソプラノのアリア”
バッハ:カンタータ196番「主はわれらを心にとめたまえり」より第4曲”テノールとバスの二重唱”
バッハ:カンタータ80番「われらが神はかたき砦」より第7曲”アルトとテノールの二重唱”
バッハ:小ミサ曲ト短調BWV235より第1曲”キリエ”
バッハ:カンタータ180番「装いせよ、おおわが心よ」より終曲”コラール”
指揮:齊藤義雄
合唱:アンサンブル・308
合奏:湘南バロックアンサンブル
”教会でバッハを聴く”。一度は教会でバッハを聴いてみたいと思っていましたが、友人が出演すると聞き、楽しみに出かけました。場所はJR横浜線矢部駅近くの相模原教会。教会なんてめったに行く機会がないのですが、あの独特の静謐な雰囲気はなかなかよいものです。それほど大きい教会ではないようですが、由緒正しいところ(という言い方があるのか分かりませんが)のようです。いつの間にか、チャペルは満席になりました。
前半は器楽のみによる演奏。思ったよりドライな音響でしたが、悪くはありません。2曲目の”精霊の踊り”。有名な曲ですが、本当にいい曲です。物寂しいフルートが心に響きます。フルートがとてもきれい。続くファゴット協奏曲。ヴィヴァルディはファゴットの協奏曲だけでも約30曲も作曲しているとのこと。驚く限りです。バッハの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」は彼の厳格さ、荘厳さがよく表れた曲だと思います。最近はダヴィッド&イーゴリ・オイストラフ,ラミン指揮シュターツカペレ・ベルリンのちょっと古い録音が気に入っています。
後半はバッハのカンタータの名曲集といったところでしょうか。合唱はソプラノ、アルト各3人、テノール、バス各2人の総勢10人の小さな編成ですが、これだけでも会場の空間が何倍にも広がった感じがします。バッハのカンタータ、あまりちゃんと聴いたことはなかったのですが、いいですね〜。なにせカンタータだけでも200曲以上もあるので、全部聞くだけでも相当体力が入ると思いますが、今日聴いた範囲ではどれもすばらしかった。カンタータ(特にバッハの)は、もともと聖書を分かりやすく教えるために、経典に音楽をつけたもの(と私は理解してます)なので、基本的に誰にでも分かりやすく書かれているのだと思います。荘厳且つ小気味良いリズムは聞き手を飽きさせません(歌詞の内容が分からないにもかかわらず)。今日聴いたところでは、オーボエの音色に惹かれました。まるで人の声のような雄弁なオーボエは、カンタータの中で重要な役割を果たしているのではないかと思います。
今日の中では合唱全員が歌う180番のカンタータが良かった。そしてアンコールにカンタータ147番より第10曲”主よ、人の望みの喜びよ”。いろいろな形で演奏されるこの曲ですが、これが原曲。何と心安らぐ曲でしょう。今日聴いて感じたのは、バッハの根底にあるのは「愛」だということです。慈愛と言ったほうがもっと適切でしょうか。ますますバッハが好きになりそうです。
今日のコンサートは初の企画だったようですが、これからも年1回、2回でもいいので定期的に開催してほしいものです。
- 6月30日(土)大田区民センター
東京ガルテンシュタット管弦楽団第41回定期演奏会
フランク:交響曲ニ短調
ドビュッシー(ビュッセル編):「小組曲」
リスト:交響詩第3番「前奏曲」
指揮:末永隆一
東京ガルテンシュタット管弦楽団の演奏会は、第36回、第37回に続いて3回目。ホールは蒲田駅から徒歩10分ほどのところ。上記6/9の”アプリコ”とはまた別のかなり古びたホールです。私がこのオーケストラが好きなのは、何よりも皆さんが「音楽が大好き!」という顔をして演奏されているところです。プロ、アマ問わず普通のコンサートは、会場入り口に受付があって、開演前独特の華やかな雰囲気があるのですが、このオケの場合は入場無料ということもありますが、受付はなく、入口脇にあるプログラムを各自持って入るようになっています。
相変わらず、お客さんが少ない...。最初は楽員よりお客さんの数のほうが少なかったのでは...。でも楽員の方は、客の数より音楽ができる喜びのほうを大事にされているような感じ。私はそういうところが好きなのです。服装が普通の背広姿というのもおもしろい。実はこのオケは会場のすぐそばにある、とある大企業にお勤めの方が中心になられているようですが、会社帰りにちょっくら音楽をやるか!という雰囲気です。
さて、最初の曲はフランクの交響曲。シンフォニーは普通プログラム後半に置くのでちょっと珍しい。この曲、CD等で何度か聴いたことはありますが、ほとんど印象に残っていない。今日こそはと思い、がんばって聴きました。でも・・・。あまり冴えない曲だなという印象は変わりませんでした。第3楽章はなかなかかっこいいところもあるのですが、全体に渋すぎます。作曲家が何を言いたいのかが伝わってこないのです。(同じような意味でリストの管弦楽曲と共通するものがあると思います。)彼のヴァイオリン・ソナタは大好きな曲なのですがね。
休憩をはさんでドビュッシーの小組曲。オリジナルはピアノ曲ですが、実は初演はさっきのフランクと同じ年(1889年)なのですね。それにしても何という違い!4つの曲からなる組曲ですが、どれも色彩的で愛らしい。ドビュッシーの数ある曲の中でももっとも親しみやすい曲の一つでしょう。最後の「バレエ」など聴いていて踊り出してしまいたくなるような楽しさ。
最後はリストの前奏曲(レ・プレリュード)。先ほど書いたようにリストの管弦楽曲はあまりぱっとしない気がするのですが、これは一番有名な曲。主題の展開がわりと分かりやすく、後半の盛り上がりは演奏効果があり、受ける曲ではあります。最後のところは少し前にテレビCMでも使われてました。
ところで今日のプログラムの隠れたキーワードは何か分かりますか?そう、ハープです。全部ハープが使われています。どちらかといえば隠し味的な使われ方ですが。
演奏はよかった〜。気合は入っているのですが、終始リラックスして音楽を楽しんでいる感じが伝わってきました。これこそアマチュア!次回も楽しみにしてます。
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