最近行ったコンサート
2001年12月
- 12月8日(土)グリーンホール相模大野(相模原市)
秋山和慶のストラヴィンスキー3大バレエ
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(1919年版)
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
指揮:秋山和慶
ピアノ:小林万里子
管弦楽:東京交響楽団
今回のコンサートは2ヶ月ほど前にすでに知っていて、ストラヴィンスキーの3大バレエを1日で全部演奏してしまうという意欲的なプログラムに惹かれ、ぜひ行こうと思っていたところ。そこへ、毎月愛読している「ぶらあぼ」というクラシックコンサート情報誌に、”チケットプレゼント”のお知らせがあるのを見つけ、さっそく応募しました。そうしたら見事当選!儲かりました!(宝くじよりずっと確率は高いはず。)
グリーンホール相模大野は比較的近所ですが、まだ一度も行ったことがなく、ようやく機会に恵まれました。実に立派な大ホール。音響もなかなかで、都心のホールに引けを取りません。会場は8割ぐらいの入り。このプログラムの演奏会はここだけと言いますから、遠くから来ている人もいるかもしれません。(相模大野は新宿から40分。)
さて、秋山さん登場。この方の指揮を聴くのは3、4年ぶりでしょうか。最初の「火の鳥」、叙情性と激しさを併せ持つ曲ですが、ベテランの秋山さん、さすがにうまくまとめられていました。「カスチェイの魔の踊り」の迫力はすばらしかった。
今日は珍しく、休憩が2回あります。演奏者の体力が持たないからでしょうか!?1回目の休憩をはさんで、「ペトルーシュカ」。これも好きな曲ですが、生は初めて。オケの鳴りがさっきよりよくなった。やや冗長なところもあるが、これは楽しい曲です。親しみやすい旋律が次々と出てくるところが、他の2曲にはない特徴。ピカノ、マリンバもあって、視覚的にも聴覚的にもおもしろい。複雑さは火の鳥以上ですが、アンサンブルはよくそろっています。こういう難しい曲こそ、秋山さんの得意とされるところでしょう。
2階目の休憩後、「春の祭典」。これも秋山&東響の十八番と言ってもいいでしょう。手堅く、精度の高い演奏。でも、破綻がない代わりに冒険もなかったと言っては言い過ぎでしょうか。非のうちどころがないのが欠点とも言いましょうか。ただ、終曲では単なる音を超えて迫ってくるものがありました。まるでオーケストラが一つの楽器になってこちらに向かってくるような迫力を感じました。
聴くほうも少々疲れましたが、演奏するほうはその比じゃないでしょう。本当にお疲れさま・・・。
- 12月9日(日)国分寺市立いずみホール
ウィーン・ゾリスデン チャリティーコンサート
ハイドン:「ピアノ三重奏曲第39番」ト長調 作品73-2
ブラームス:「ピアノ三重奏曲第2番」ハ長調 作品87
ベートーヴェン:「ピアノ三重奏曲第7番」変ロ短調<大公>作品97
ヴァイオリン:ダニエル・フロシャウアー
チェロ:ラファエル・フリーダー
ピアノ:鳥羽泰子
7月に近所のホールで聴いてから、すっかりとりこになったフロシャウアーさんと鳥羽さんのデュオ。あれから、実は思いがけず、鳥羽さんからメールをいただきました。もちろん、HPを作っていることやメールアドレスなど、何もお伝えしていないのにです!(おそらく、検索してたまたまこのHPが引っかかったんだと思います。)お二人はウィーンにお住まいですから、メールはウィーンから!です。そして、「12月にまた日本でピアノトリオをやるのでよかったら・・・」と。
今回は、西国分寺駅前にある「いずみホール」というところ。どうやら今回も大々的な演奏会ではないようで、「ぶらあぼ」を見ても、インターネットで探しても見つかりませんでした。数日前に演奏会の担当の方に電話したら、「もう私の手元にチケットないんです。」と。ホールに電話しても、「こちらではチケット取り扱ってないんです。」と。まあ当日券でだいじょうぶだろうと会場に向かいました。
今日のコンサートは、国際ソロプチミストという女性中心の慈善団体主催のチャリティーコンサートとのこと。小さな会場はおばさま方でごったがえしていました。かろうじてチケットは買えましたが、ホールの催し物案内には「当日券なし」とありました。会場を見渡してみるに、普通のお客さん(関係者以外という意味で)はほとんどいない様子。ホールは室内楽にはちょうどいい大きさ。
最初に主催者の挨拶があり、そのあと何と国立市長と国分寺市長の挨拶が。女性団体ということで、市政にもかなり影響力を持っているということなのでしょう。特に国立市長は女性市長だからということもあるでしょう。(なかなかよいスピーチでした。)そしてようやく演奏者の登場。今日はチェロのフリーダーさん(この方もウィーン・フィル!)も加わったピアノ・トリオです。
最初はハイドン。ハイドンのピアノ・トリオは聴くのは全く初めて。あとで調べたら、全部で43曲もあるとか。交響曲の数といい、ハイドンは本当に多作家です。ふわりと始まった39番、とても典雅な曲です。どこか違う世界から響いてくるような、気品にあふれた作品。お三方の演奏は、とてものびやかで、「あぁ、これが室内楽の喜び、楽しみなんだな」と思いました。あまり頻繁に演奏される曲ではないのかもしれませんが、これは佳曲です。ハイドンはどちらかと言えば地味ですが、駄作はほとんどないような気がします。音楽好きのための音楽、それがハイドンなのでは。
次はブラームス。ブラームスのピアノ・トリオは3曲ありますが、今日は第2番。ブラームスらしく、なかなか渋い曲です。ハイドンよりも音が大きく聞こえます。ピアノ・トリオは、私はあまり多くは知りませんが、好きなジャンルです。たった3つの楽器でオーケストラ曲のような大きな音楽が聞こえてくるのが魅力的です。(お気に入りはチャイコフスキーのピアノ・トリオ。)
最後のベートーヴェンの「大公」。冒頭のメロディは有名ですね。途中、ピチカート奏法が多用されたりと、なかなか意欲的な作品。3人の息は本当によく合っていて、そのきらきらした音を聴いているだけで、うっとりしてしまいます。鳥羽さんのピアノはやはりすばらしいです。まるでピアノを使ってお話されているような雄弁さと言いましょうか。特にピアニッシモは絶品!今度はモーツァルトのソナタか協奏曲が聴いてみたいものです。
終演後、サイン会をやるというので、今日は「クロイツェル・ソナタ」他が入っているCDを買って列に並びました。鳥羽さんにHPのお話をしたら覚えていてくださったようで、「今月はコンサート何回目ですか?」と。「ハイドンが気に入りました。」と言ったら、「ハイドンはフロシャウアーの選曲なのよ。」とのこと。続いてお隣のフロシャウアーさんにサインをいただき、「ハイドンがよかった」と言ったらうれしそうにされていました。最後に握手をしていただきました。(こういう突然のときって、英語が出てこないんですよね。ちょっと情けない思いをしました・・・。)
今日の「大公」は録音を終えたばかりで、来年7月に発売になるとのこと。また、1月にも別のCDが出るとのことで、楽しみです。また機会があればぜひ、演奏会にお伺いしたいものです。
- 12月16日(日)東京文化会館大ホール
東京労音第108回「第九」演奏会
ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」序曲 作品43
ベートーヴェン:「交響曲第9番」ニ短調 作品125<合唱付>
指揮:小松長生
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ソプラノ:緑川まり,メゾ・ソプラノ:山岡敦子,テノール:五十嵐修,バリトン:久保和範
合唱:東京労音第九合唱団
年末の第九、12月だけで国内145回の第九が演奏されるそうです(ぶらあぼによる)。その中でどれを選ぶか?どのオーケストラ?どの指揮者?結論は、「小松長生/東フィル」の第九です。小松さんは先月の新日本フィルとの演奏ですばらしさを認識しました。そして東フィルは、7月の名古屋で大熱演を繰り広げてくれました。調べてみると、小松さんは東京と福井で2回しか第九を振らないようなので、これに行くしかありません。
小春日よりの東京文化会館。やはり第九は人気なんですね、すごい人。最初は「プロメテウスの創造物」序曲。席は4回席でしたが、音はくっきり聞こえます。東京文化会館は上のほうの席でもいい音がする、すばらしいホールです。序奏の牧歌的なメロディ、オーボエがきれい。私はベートーヴェンのオーボエの音が何とも言えず好きなのです。ものすごく”時代”を感じるのです。ベートーヴェンの生きていた時代の空気を。序奏のあと、テンポの速い音楽に変わります。明快で鮮やかな演奏、さすが小松さん、うまいです。すばらしい演奏だったにもかかわらず、小松さんがすてージから消える前に拍手が止んでしまったのはどうしたことか!明かにいつもと聴衆が違います。う〜ん。
さて、休憩なしで第九に入ります。序奏、速めのテンポで始まります。”歯切れのよい演奏”といいましょうか、重々しくなったり、だらだらしたりするところがありません。楽器のバランスも美しい。金管がうるさくなったりせず、絶妙にコントロールされているのが分かります。
第九、日本の習慣に流されてというか、私も生でもCDでも12月以外にはほとんど聴きません。(必ずしも”大好きな曲”というわけではない、という理由もありますが。)でも、こうして聴いていると、年末に第九を聴くというのは悪くないな、と思います。第1楽章、第2楽章は、どこか不安で落ち着かない音楽。まさに師走にぴったりです。そして、喧騒から瞑想の世界へと導く第3楽章。静かに目をつぶって、1年を振りかえります。そして良きも悪きも忘れて、最後はみんなで歌で盛り上がって1年を締めくくろう、という感じでしょうか。
反省なくして前進はない、そういう意味で、第3楽章は第九になくてはならない音楽だと思います。今日の第3楽章はどちらかと速めのテンポでしょうか。楽器の受け渡し、バランスがとても自然。そして第4楽章。冒頭の弦による”語りかけ”の部分。ちゃんと人が話すように強弱、緩急があるのが印象的。そして、合唱が出てくるとやはり迫力が違います。合唱団は毎年出ている方も多いのでしょう、クリアで声量もあります。毎年とはいっても、1年間、この15分のために賭けてきただけあって、気合がものすごい。独唱陣も概してよく、最後はこちらに突き刺さるような巨大なエネルギーを放射していました。(ちょっと感涙!)
第九を聴くと、本当に年末という気がしてきます。ことしもあとわずか。
- 12月23日(日・祝)山王原キリストの教会(神奈川県伊勢原市)
クリスマス・キャンドルサービス
コレルリ:「合奏協奏曲集」作品6-8<クリスマス>
ヴィヴァルディ:「ヴァイオリン、フルート、オーボエ、ファゴットのための室内協奏曲」ト短調
J.S.バッハ:「小ミサ曲」BWV236より”アリア”
J.S.バッハ:「カンタータ第147番」BWV147より”主よ、人の望みの喜びよ”
賛美歌斉唱(7曲)
管弦楽:湘南バロックアンサンブル
合唱:東海大学附属本田記念幼稚園女性コーラス
”教会で聴くバロック音楽”。今年6月に相模原教会でバッハのカンタータを聴いて、いいなぁと思いました。前回伴奏をした湘南バロックアンサンブルが、クリスマスに合わせて教会で演奏するとのこと。今日は、伊勢原の教会。伊勢原から、大山登山道へ向かう途中にある、ほんとうにこじんまりした教会。(案内の看板がなければ通りすぎてしまっていたでしょう。)
礼拝堂というにはあまりに素朴なお部屋。小さい子どもがたくさんいてにぎやかです。16:00、牧師さんのご挨拶のあと、コンサートが始まりました。コレルリの合奏協奏曲。第1曲、ヴィヴァーチェ・グラーベ。歌なしのカンタータのような趣き。大聖堂の天井から霊気が舞い降りてくるような、荘厳な雰囲気の曲です。教会でこんなに美しい音楽を聴いたら、それだけでキリスト教徒になってしまってもおかしくないかもしれません。続いて、ヴィヴァルディ。これは聴いたことがありました。木管楽器が活躍するヴィヴァルディらしい華やかな曲。ヴィヴァルディの曲は生き生きとした生命力のようなものを感じます。
後半は女性コーラスが登場して、バッハ。この清楚な響きは、やはりバッハです。カンタータはいいです。有名な「主よ、人の望みの喜びよ」。バッハが死んでから250年以上も経っているのに、だれもが知っているとは。音楽の力は計り知れません。
演奏が終わって、ミサに入ります。福音書の一節を読み上げて、賛美歌を斉唱します(入るときに譜面をもらっています)。みなさん、ふだんから歌われているのでしょう、伴奏にのってちゃんと歌われます。子供たちもちゃんと!ほとんど楽譜の読めない私ですが、合わせて歌ってみました。”きよしこのよる”と”もろびとこぞりて”は分かりましたが・・・。最後に牧師さんのお話。テーマは「愛」。本当の愛とは、人のために尽くすこと、人のために自らを捧げることだ、と。
教会の礼拝に来たのは、生まれて初めてのことでした。日常とは違う時間の流れを感じながら、宗教とは何だろう?とぼんやり考えていました。その答えはいろいろ、人それぞれだと思いますが、一つの答えとしては、「日常生活に節目をつけること。」だと言えると思います。日常に流され、自分を見失う自己に杭を打ち、反省と感謝の気持ちを呼び起こす、それが宗教の目的の一つ、と言えるのではないかと思います。(宗教によってニュアンスは違うと思いますが。)
今日はいつものコンサートホールの演奏とは違いましたが、とても貴重な経験をさせていただきました。
- 12月24日(月・振休)サントリーホール大ホール
バッハ・コレギウム・ジャパン 聖夜の「メサイア」
ヘンデル:オラトリオ「メサイア」HWV56
指揮:鈴木雅明
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
ソプラノ:スザンヌ・リディーン,アルト:波多野睦美,テノール:ヤン・コボウ,バス:ステファン・マクラウド
年末の「第九」もいいですが、「メサイア」はもっとふさわしいでしょう。しかも今日はクリスマス・イヴ。コレギウム・ジャパンは今年7月の第49回定期に続いて、今日が3回目です。「メサイア」は、1999年12月の本名徹次/名古屋フィルで聴いて以来、2年ぶり。前回は合唱・オケとも大きな編成で、とても華やかな演奏でしたが、今日は、独唱4人、合唱20人、オーケストラ19人という小編成。楽器も古楽器で、音量は必ずしも大きくはありませんが、澄んだ繊細な音がします。当時はこのような音で鳴っていたはずです。
あとで知りましたが、「メサイア」は著述家ジェネンズ(1700−1773)が、「キリスト来臨の預言と成就、その受難と贖罪、そして福音の伝播」を新旧の聖書から巧みに引用して編纂したテキストに、ヘンデルが曲をつけたものです。キリスト教に詳しくない私にとっては、正直、テキストを全部読んでも意味がよく分からないのですが、何より原語が英語なので、聴きながらテキストを追っていくことができます。
独唱も皆さん美しいですが、やはり合唱の部分が壮大です。プログラムによれば、この「メサイア」は、ヘンデルの他のオラトリオよりも合唱部分が圧倒的に多く(全体の約5割)、そこが聴き所とのこと。全部で3部からなり、第1部の後に休憩が入りました。全体を通して、印象に残ったのは、第2部の第24曲〜26曲あたり、第41曲、そして第2部最後第44曲”ハレルヤ”。ここではティンパニ、トランペットが大活躍し、一気に華やかな雰囲気になります。当時、イギリス国王ジョージ2世が起立してこの曲を聞いたことから、いまでも立ち上がって聞く習慣があります。今日は、演奏者のほうで特に起立を求める”間”がなかったためか、立ちあがった人は僅かでしたが。(前に名古屋で聴いたときはほぼ全員起立したと思います。)
そのほか、トランペットが活躍する第3部の第47曲あたり、そして何よりすばらしかったのは最後の第53曲。これは全3部を締めくくるにふさわしい、荘厳な曲です。コレギウム・ジャパンの演奏は実に充実したものでした。
盛大な拍手にこたえ、アンコール。合唱のアカペラで「きよしこのよる」。この透明感、ホール全体が共鳴しているような美しさ。1コーラス歌ったあと、2コーラス目へ。これがまた最初と全然違います。4声か5声か分かりませんが、不協和音を伴った複雑な和声による「きよしこのよる」。気持ちいいような、気持ち悪いような、不思議な音でした。いやいや、粋なアンコールを聴かせてくれますね〜。
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