最近行ったコンサート
2002年1月
- 1月13日(日)ルネこだいら(小平市)
東京フィルハーモニー交響楽団ニューイヤー・コンサート
ヨハン・シュトラウスU世:オペレッタ「こうもり」より<序曲>,<侯爵様、あなたの様なお方は>
レハール:オペレッタ「メリー・ウィドウ」より<ヴィリアの歌>
F.ロウ&A.ジェイ・ライナー:ミュージカル「マイ・フェア・レディ」より<踊り明かそう>
R.ロジャーズ&ハマースタインU世:ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」より<私の好きなもの>,<ザ・サウンド・オブ・ミュージック>,<ドレミの歌>
グノー:オペラ「ファウスト」よりバレエ音楽(4曲)
ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」作品9
ウェーバー(ベルリオーズ編):「舞踏への勧誘」
ヨハン・シュトラウスU世:ワルツ「美しく青きドナウ」
スメタナ:オペラ「売られた花嫁」より<道化師の踊り>
ラヴェル:「ラ・ヴァルス」
指揮:小松長生
ソプラノ:足立さつき
新年最初のコンサートは、やっぱり(?)ニューイヤー・コンサート。去年末から「小松長生さん」を求めてコンサートめぐり。ルネこだいらは初めて。西武新宿線小平駅から歩いて3分ほどの交通至便な場所にあります。「第九」とかこういうコンサートは人気があるのでしょうか、会場は満席に近い状態。
今日のコンサートは前半がソプラノ独唱、後半がオーケストラによるポピュラーな管弦楽曲集となっています。最初の「こうもり」序曲。これは楽しい曲で、聴いていて本当に晴れ晴れとした気分になる名曲ですね。曲が終わって、小松さんのご挨拶。彼の肉声を聴くのは初めてですが、精緻な指揮姿とはちょっと印象が違って、おしゃべりで(少し舌足らずで)、お茶目な方です。
続いてソプラノの足立さんが登場してオペレッタを歌います。そのあとミュージカルのヒットナンバー。マイクを使うのがちょっと違和感がありましたが、足立さんの声はどちらかと言えばこういう歌に向いているのかなと思いました。特に「サウンド・オブ・ミュージック」は日本語で歌われましたが、明瞭で迫力がありました。
再びオーケストラの曲に戻って、グノーの「ファウスト」より4曲。最初の曲は、数年前のNHK-FM「聴きたくてクラシック」のテーマ音楽でしたね。4曲目は劇的でかっこいい曲。一度このオペラの全曲を聴いてみたいものです。
休憩後の最初は「ローマの謝肉祭」。後半の複雑な音楽は、小松さんの得意とするところでしょう。お見事。「舞踏への勧誘」は小松さんの大好きな曲とのこと。そして定番の「美しく青きドナウ」。「道化師の踊り」もアップテンポの楽しい舞曲。そして最後は「ラ・ヴァルス」。ちょっといままでの選曲からすると異色の選曲ですが、演奏は手繰りが効いていて聴きごたえがありました。この曲、ラヴェルにしては特異的に不気味な雰囲気が漂いますが、ある意味彼の苦悩や時代背景が浮き彫りにされていて、興味深い曲です。
そして最後はお口直しに、これも定番ですが、「ラデツキー行進曲」。小松さんがきめこまかく客席に拍手の合図を送ります。拍手だけですが、オーケストラの演奏に参加できるのはいい気分です。こうして今年も軽快にクラシックの年初め。
- 1月19日(土)トッパンホール(飯田橋)
ダン・ラウリン&鈴木雅明 演奏会
¶フレスコバルディ:「リコーダーとコンティヌオのための2つのカンツォーナ」(1628/34)
¶フレスコバルディ:トッカータ第1番ト調(トッカータ第2巻より)(1627)
¶チーマ:「リコーダーとコンティヌオのためのソナタ第2番」(1610)
¶メールラ:「リコーダーとコンティヌオのためのソナタ第1番」(1624)
¶バッサーノ:「無伴奏リコーダーのためのリチェルカータ」(1585)
¶カステッロ:「リコーダーとコンティヌオのためのソナタ第1番」(1644)
¶ベラルディ:「リコーダーとコンティヌオのためのカンツォーナ第6番」(1670)
¶フレスコバルディ:100のパルティータ(1637)
¶モンタルバーノ:「リコーダーとコンティヌオのためのシンフォニア第1番」<アレツォ>,「シンフォニア第4番」<ジェローゾ>(1629)
¶コンフォルティ:「リコーダーとコンティヌオのための"Salmi
Passaggiati"(パッサージョ[コロラトゥーラ]をつけたすべての旋法上の詩篇)より(1601-03)
¶フォンターナ:「リコーダーとコンティヌオのためのソナタ第2番」(1641)
¶メアッリ:「リコーダーとコンティヌオのためのソナタ」<ラ・ベルナーベア>(1660)
リコーダー:ダン・ラウリン
チェンバロ&オルガン:鈴木雅明
先月聴いたバッハ・コレギウム・ジャパンを率いる鈴木さんが伴奏をつとめる、バロック・リコーダーの演奏会。ラウリンさんという方は寡聞にして初めて聞きましたが、スウェーデンのBISレーベルに数多く録音もしているという有名なリコーダー奏者とのこと。鈴木さんとも1枚入れています。
会場のトッパンホールは初めて行きました。有楽町線の江戸川橋駅から歩きましたが、首都高がそばを走ってるとはいえ、少し奥に入ると「下町」の雰囲気が漂っています。トッパンホールは、凸版印刷のビルの下にあるホール。ビルもなかなか斬新ですが、ホールも気品にあふれ、とても美しい。ステージには孔雀の絵をあしらった金色に輝くチェンバロが...。見るだけでも十分芸術品です。
プログラムを見て、フレスコバルディの名前は知っていましたが、それ以外は聞いたことがない作曲家ばかり。一瞬、今日の演奏会は前半がバロックで、後半がリコーダーのために書かれた現代音楽かと思ってしまいました(ハハハ...)。
ラウリンさんは1960年生まれ。気さくそうな雰囲気の方。最初のフレスコバルディは、オルガンの伴奏。素朴で透明感のあるリコーダーの音はいいものです。今日の曲は、作曲者も作曲年代も少しずつ異なりますが、ルネサンス後期からバロック初期ということになるのでしょうか。バッハのような構築性、ヴィヴァルディのようなノリのよさはありませんが、ある意味、まだ形式が確立されていない、「何でもアリ」の時代の自由な雰囲気があります。
印象に残ったのは、カステッロ、ベラルディ、メアッリあたりでしょうか。でも一番印象的だったのは、アンコールのリコーダーの無伴奏で、作曲者不詳「13世紀のエスタンピ」。冒頭の尺八のような奏法に、会場から一瞬、笑いが起こるほど。どこか日本的な”間”の取り方、でもバロックぽいと言えば言えるし、民族音楽的でもあります。途中、「声」(だったと思うのですが)も加わって、重音的な摩訶不思議な音に...。これはきっと現代音楽だろう、と思ったのですが、見事に予想が外れました。こんな前衛的な音楽が13世紀にあったなんて、何か不思議な気分です。
バロック以前の「音楽史」の世界は、きっと宝捜しのような世界なんでしょうね。遠い昔の音楽に想いを馳せることができました。
蛇足ですが、帰りは飯田橋駅まで無料の送迎バスがありました。何とサービスのいいところでしょう!このご時勢にここまで気前いいホールはなかなかないでしょう。ホールのお客さんへの姿勢がはっきりと見えて、気持ちがいいものでした。すばらしい!!トッパンホール!!
- 1月20日(日)東京芸術劇場(池袋)大ホール
水星交響楽団第29回定期演奏会
バーンスタイン:政治的序曲「スラヴァ!」
バルトーク(シェルイ編):ヴィオラ協奏曲
マーラー:「交響曲第5番」
ヴィオラ:坂口翼
指揮:齋藤栄一
水星交響楽団の演奏は、ちょうど3年前、バレエ団O.F.Cのラヴェル「ダフニスとクロエ」全曲舞台上演の伴奏として聴いて以来。意欲的なプログラムに惹かれ、来てみました。
最初のバーンスタインは、指揮者ロストロポーヴィチが1977年にワシントン・ナショナル交響楽団の音楽監督に就任した記念に、書かれた曲ということで、とにかく賑やかでノリのいい曲。元気が沸いてきます。文句なしに楽しい。途中、テープで政治家の演説が聞こえてくるのが面白いところ。ワシントンがアメリカの政治の中心であることを意識しているそうです。
つづいてのバルトークのヴィオラ協奏曲。バルトークがあまり得意でない私は、初めて耳にする曲。ただ、演奏会で取り上げられることもかなり珍しいのではないでしょうか。これはバルトークの遺作で、オケパートのほとんどは彼の弟子のシェルイが創作に近い形で補筆したそうです。冒頭からヴィオラが低い声で語りかけるように歌います。どこか悲痛で、過去を回顧するような音楽です。バルトーク特有のとっつきにくさはありますが、何かを訴えてくるものを感じます。ヴィオラの坂口さん、まだ東京芸大の2年生ということですが、なんと心に響くヴィオラでしょう。彼女はもうすでに自分の”音”を持っています。自分の音で音楽を語っています。協奏曲のあと、アンコールでバッハの無伴奏チェロ組曲第1番の第1楽章を弾かれましたが、これがますますすばらしく心に染みました。「楽譜を弾いている」という感じが全くない!自分の音楽を弾いています。ヴィオラ1本でホールの空気をがらっと変えてしまう実力、間違いなく期待の星!彼女の今後の活躍を期待したいと思います。
休憩を挟んで、マーラー。5番は一度生で聴いてみたかった曲。冒頭のトランペット、やや控えめでしたがまずまずの出だし。そしてオケの全奏。この迫力こそマーラーの醍醐味。アンサンブルは少しモコモコするところもありましたが、破綻することはなく、よく健闘していたと思います。特に第4楽章のアダージェットは、感情もよく出ていて美しかった。
ただし、聴き終えて、マーラーはまだどうも理解できない部分があるという印象が残りました。個人的には1番「巨人」と3番、9番、そしてこの5番が好きなのですが、5番にしても、第3楽章などにはついていけません。楽しいワルツかなと思ったら、暗く重々しい雰囲気になったり、急に爆発したり・・・。いったい何が言いたいんだ!と言いたくなります。思うにマーラーは全般に、「言いたいこと」が多すぎるのです。そしてその言いたいことをそのまま音楽に書きつけてしまうようなところがあります。そこが人間くさくて、魅力的だとも言えるのですが、あまりにも激しい気分の変化にこちらはついていけずに振り回されてしまうような感じです。かと思えば、5番のアダージェットのような完成度の高い音楽もあります。あれは本当にすばらしい音楽です(無性に狂おしい気分になります)。だから、マーラーは好きといえば好きなのですが、それは一部で全部じゃない、というのが正直なところ。次は何番に挑戦するかな・・・。
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