最近行ったコンサート
2002年2月
- 2月2日(土)調布市文化会館たづくり
くすのきホール
毘沙門天管弦楽団第21回定期演奏会
ブラームス:「悲劇的序曲」作品81
メンデルスゾーン:「ヴァイオリン協奏曲」ホ短調 作品64
ドヴォルザーク:「交響曲第8番」ト長調 作品88
ヴァイオリン:田中雅子
指揮:上杉隆治
よいプログラムに惹かれて、調布に出かける。調布には「グリーンホール」というホールもあるが、「くすのきホール」はそのすぐそばにある別のホール。調布市は金持ちですなぁ。こちらは1階席のみの中規模ホール。
電車の時間を見誤ったため、少し遅れて到着。悲劇的序曲は残念ながら始まっていて、ホール入口で天井のスピーカーから流れてくるのを必死に聴きました。「起伏が大きく、流麗な演奏」という感じでしょうか(生じゃないので何とも言えないけど)。
拍手があって、ホールに入ります。指揮者の上杉さんは白髪のベテラン指揮者というイメージ。本職は東京都交響楽団のコントラバス奏者だそうです。オーケストラの団員は20代から30代の若い人が多い。さて、次は”メン・コン”。ヴァイオリンの田中さん、とてもストレートで精緻な演奏をされます。最初は、手堅すぎてちょっと物足りない気もしましたが、第2楽章以降はのびのびとした演奏になってきました。そして、第3楽章、テクニックも実にすばらしく、やっぱりこれは名曲だなぁといまさらながら感じながらヴァイオリンの魅力を堪能しました。プログラムを見ると、田中さんも都響の方なんですね。うまいはずです。失礼しました・・・。
さて、メインはドヴォルザーク8番。8番と聞いてまず思い起こすのは、ジョージ・セルの演奏。私がこの曲のとりこにしてくれたのは、彼の演奏(1958年の録音の方)だからです。チェロの序奏のあと、オーケストラが乗ってきます。音が大きく、健康でいい感じ。演奏者の技術的レベルはやや個人によって差があるのかなと思いましたが、それよりも演奏への集中力にはすばらしいものがあります。上杉さんの指揮は起伏が大きく、感情をはっきりと出すような感じですが、音楽の流れはいつでもスムーズで見通しがいい。それにしっかりと付いていこうとするオーケストラのひたむきさがいいと思いました。どの瞬間も「意味のある音」で満たされていました。そして第4楽章は、速いテンポとあいまって、大熱演に。ホルンが思いっきり吹いていて気持ちいい。ここまでまとまるのには相当練習したはずです。上杉さんのご指導とオーケストラの団員の方の熱意の結果だと思います。いい8番でした。
そして、盛大な拍手のあと、アンコール。おお!スラヴ舞曲第1番!さっきからステージに大太鼓が乗ってるのはなんで?と思っていました。だって、今日の3曲のどこにも大太鼓は出てこないですからね。そう、そしてシンバル、トライアングルも!アンコールのためだけに用意するとは気合入ってます。スラヴ舞曲、生で聴くのは初めてで、うれしかった。一度全曲生で聴いてみたいな。すてきなアンコールをありがとう!
- 2月11日(月・祝)東京芸術劇場大ホール
オーケストラ・ダスビダーニャ第9回定期演奏会
ショスタコーヴィチ:交響詩「十月」作品131
ショスタコーヴィチ:「交響曲第2番」<十月革命に捧ぐ>作品14
ショスタコーヴィチ:「交響曲第3番」<最初のメーデーの日に>作品20
指揮:長田雅人
混声合唱:コール・ダスビダーニャ
今年もダスビのシーズンがやってきました!ショスタコーヴィチしか演奏しないという世界にも稀な超オタクオーケストラ!私は3年前に初めて聴く機会があり、その熱気に圧倒されました。昨年の「ステンカ・ラージンの処刑」は大熱演でした。(昨年の私的ベスト・コンサートはこのダスビダーニャなのでした!)
さて、今年はショスタコ唯一の交響詩と初期の交響曲2曲のプログラム。最初の交響詩「十月」は、1967年の作ですから晩年の作品ということになります。冒頭は交響曲第10番の冒頭を思わせるような低弦の響きで始まります。書法はこれぞショスタコーヴィチ!という感じ。小太鼓、ティンパニ、大太鼓も登場、最後は輝かしく終結。曲は15分ほどですが、彼の書法が凝縮された名曲だと思います。聴き応え十分。オケも例年通り完成度が高く、気合入ってます。
次は交響曲第2番。今日の2曲の交響曲は共に合唱が入りますが、そのためもあってか演奏の機会は稀で、今日は貴重な演奏会になります。冒頭、弦のピアニッシモで始まります。コントラバス、チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンがそれぞれ違う旋律を出しますが、音楽というより”唸り”といった感じで不気味な音が襲います。モノクロのロシア映画(タルコフスキーあたり?)を見ているよう。しばらくしてトランペットが登場し、映像がカラーに変わるといった感じでしょうか。ようやく低弦の唸りが消えて、テンポの速い音楽に変わります。この曲はショスタコーヴィチ21歳のときの作品ですが、オケの扱いにはすでに天才的なものを感じます。
前衛的な作品らしく、”工場のサイレン”が登場し、そのあと合唱が入ります。「十月革命」という題名は1917年の十月革命、つまりロシア革命を指しますが、この曲はその革命10周年記念の委嘱作ということで、当然、歌詞の内容はレーニン讃美。音楽は祝祭的な雰囲気になり、華やかに締めくくられます。合唱の部分は短く、交響曲と言うには全体的なまとまりに欠けているような気がしますが、若きショスタコーヴィチの意欲作であることは確かです。
続く第3番は大学院の修了作品として23歳の時に書かれた曲。クラリネットの美しい旋律で始まります。解説によれば、これは”主題”の登場しない曲で、その点で第2番と同じく前衛的な作品と言えますが、音楽の洗練度という点では第2番よりずっとよく書けている感じがしました。次々と新しい音楽が展開していくあたりの手法は、聞き手を全く飽きさせません。ショスタコならではの打楽器群の炸裂もあります。これも第2番と同じく単一楽章の曲で、全部で25分ほどと短め。しかも合唱が登場するのは最後の5分ほど。労働者のお祭りであるメーデーを祝福するような内容。最後は第2番に似て祝祭的に終わりますが、何だかとってつけたような感じも否めません。(実際に労働者がメーデーにこの歌を歌うようなことはなかったのでは?)
演奏はいつもながら気合の入ったものでした。とにかくこの複雑な曲を破綻もなくしっかりとまとめていたのには驚きます。それ以上に楽団の方々の意欲がよく伝わってきました。合唱陣もよく揃っていました。が、なにせ歌うところが2曲とも短いので少々物足りなかったかな。もっと聴いてみたかった...。
アンコールは第3番の合唱部分。今日は初期の交響曲ということで、後期の交響曲のような充実度にはやや欠けますが、貴重な貴重な演奏会でした。次に日本で聴けるのは何年後でしょうか??
余談ですが、プログラムには(一風変わった)曲目解説がびっしりと書かれていて、とても興味深く読みました。このプログラム読んだだけで、熱気が伝わってきます。すばらしい!オーケストラ・ダスビダーニャ!
- 2月16日(土)カザルスホール
第15回アマチュア室内楽フェスティバル
(1)ヘンデル:12の合奏協奏曲作品6-1ト長調より第1,2,4楽章
(2)フォーレ:「チェロ・ソナタ第2番」ト短調作品117より第1楽章
(3)ガブリエーリ(P.ジョーンズ編):「ピアノとフォルテのソナタ」,「8声のカンツォーナ13番」
(4)藤掛廣幸:組曲「紙すきの歌」
(5)フォーレ:「ピアノ五重奏曲第2番」ハ短調作品115より第1楽章
(6)アンドレ・ギャニオン:「めぐり逢い」
(7)J.S.バッハ:「主よ人の望みの喜びよ」
(8)ガーシュウィン(T.エスポジト編):「アイ・ゴット・リズム」,「ストライク・アップ・ザ・バンド」,「バイディング・マイ・タイム」,「ファッシネイティング・リズム」,「スワンダフル」
(9)ホルスト:「セント・ポール組曲」作品29-2より第1,3楽章
演奏:(1)長谷川武久&松響バロックアンサンブル/(2)”10年ぶりのデュオ・ニイミ”/(3)湘南金管五重奏団+アンサンブル・ネットワーク・COSMOS/(4)プロベル立川/(5)完熟美人クインテット/(6)(7)Leier's
sonnet/(8)テール・デュ・ノール木管五重奏団/(9)アンサンブル・アミカ
アマチュアのオーケストラは日本で何団体あるか分かりませんが、では室内楽アンサンブルはどれくらいあるのでしょうか?オーケストラでもあれだけの数あるのですから、数としてはそれ以上あるのではないでしょうか?しかし、意外と演奏会の情報が入手しにくいような気がします。あまり大々的に宣伝しないためでしょうか?
今日はアマチュアだけの室内楽コンサート。初めて来ましたが、このフェスティバルは今回で15回目とのこと。もうカザルスホールでは毎年の恒例行事になっているのでしょう。会場はほぼ満席。来てみて知りましたが、司会はフリーキャスターの朝岡聡さんとフリーアナウンサーの安田祐子さん。朝岡さんはNHK-FMの「ブラスのひびき」のパーソナリティを担当されているのを知っていたので、音楽好きな方なんだなと思っていましたが、大学時代よりバロックアンサンブルに入り、リコーダーを吹くのが趣味ということで、最近はリコーダーの本まで出版するほどの熱の入れよう。
最初はヘンデルの合奏協奏曲。名称の長谷川武久さんは実は、選考委員のおひとり。本職は音楽評論家とのことですが、朝岡さんから「先生、お散歩ですか?」と言われるほどのラフな格好で、あまり先生っぽくない雰囲気。わけあいあいとしたアンサンブルグループです。
次のフォーレは、御夫婦のデュオ。旦那さんがチェロ、奥さんがピアノ。夫婦で室内楽!う〜ん、理想形ですねぇ。
次は”カブリエーリの饗宴”。金管合奏です。演奏者の方いわく、「これははまります」と。確かに金管だけのアンサンブルは独特のあたたかい響きがありますね。
お次はマンドリンのアンサンブル。舞台に13のマンドリンと2つのギター、そしてコントラバスが一つ。これだけ並ぶと壮観です。マンドリンには3種類あって、ふつうのマンドリンの他、少し大きいマンドラ、さらに大きいマンドセロ。原曲はオペラとのことですが、これはすばらしい曲集。日本の民謡的なメロディが纏綿と歌われ、思わずひきこまれます。マンドリンの音色が意外にも曲にマッチしていて、心に染みます。これはぜひオペラのほうも見てみたい。
次はフォーレのピアノ・クインテット。”完熟美人”なんていうので、どんなものかと思っていましたが、まだまだ「完熟」というには早いのでは(笑)。しかし洒落っ気たっぷりの名前とは裏腹に演奏はしっかりしたもの。
次はおもしろい楽器が登場。ライアーというその楽器は、簡単に言えば、手持ちサイズのハープと言えましょうか。2人で演奏されましたが、その爽快で透明感のある音色がたいへん魅力的で、最初のアンドレ・ギャニオンの曲は、聴きながらどこか外国にいるような錯覚を覚え、しばし陶酔していました。これはすばらしい。朝岡さんも何度も絶賛。
次は”熟年のおじさんアンサンブル”。フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンの五重奏団。みなさん、職業はまちまちですが、月に一度程度こうして集まって練習されるそうです。実は今度イギリスの音楽祭に招待されるとのこと。こういう趣味にあふれた人生、いいものです。みなさん、本当にいい顔をされています。
最後は鎌倉交響楽団の女性弦楽アンサンブル。以前、鎌響の演奏会に行ったことがあり、その独特の弦の音色のすばらしさに魅了されました。今日のホルストの曲でもそのみずみずしい音色は健在でした。
これだけバラエティに富んだ室内楽コンサートはなかなかないでしょう。そして曲、出演者の多様さもさることながら、司会者の存在がコンサートの楽しさを倍増しました。朝岡さんと安田さんのコンビも絶妙なアンサンブル。特に朝岡さんの演奏者へのインタビュー、私はその切れのよく且つ品のある司会進行にすっかり感心しました。これがプロの喋り手というものか、と。お客さんも大喜びでした。こんなに楽しいコンサートならまた来年もぜひ!
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