最近行ったコンサート
2002年3月
- 3月2日(土)南大沢文化会館主ホール(八王子市)
花村恵理香室内楽の夕べ
サン=サーンス:「白鳥」
ショパン:「子犬のワルツ」
マスネ:「タイスの瞑想曲」
メンデルスゾーン:「ピアノ三重奏曲第1番」ニ短調作品49
チャイコフスキー:「ピアノ三重奏曲」イ短調<偉大な芸術家の思い出>作品50
ヴァイオリン:花村恵理香
チェロ:金木博幸
ピアノ:有森直樹
近くのホールで好きなチャイコフスキーのピアノ・トリオの演奏があるのででかけた。いつもながら当日券買いのつもりで行ってみたら、「完売」とのこと。当日券の販売もない模様。しまった〜。そんなに人気があるとは。だが、いままでの私のコンサート人生(?)で当日券狙いで、中には入れなかったことはないので、何とかなるのでは、と会場の入口で待ってみる。開演3分前、ふたたびチケットもぎりのお兄さんの所へ。しかし、「全て完売になっておりますので。」の一点張り。
やっぱりダメなのかと思ったそのとき、どこからともなくおばさんがやってきて、「券、あまってるからどうぞ。」と。おお〜、神様!しかもお金はいらないと。時間もなかったのでお礼もそこそこに会場に入りましたが、世の中には親切な人がいるものだなーと、つくづく感謝。
さて、最初は3者それぞれ名曲で自己紹介といったところでしょうか。チェロとピアノの「白鳥」、ピアノソロの「子犬のワルツ」、ヴァイオリンとピアノの「タイスの瞑想曲」。子犬のワルツなど、あっというまに終わってしまって、もう少しやってくれてもよかったかなと思いましたが・・・。
そして前半のメイン、メンデルスゾーンのトリオ。聴くのは初めてですが、第1楽章からその劇的で密度の濃い音楽にひきこまれました。ピアノパートがかなり凝っているのも自分の好み。メンデルスゾーンというと、どこかのんびりした雰囲気があるイメージがありますが、これはかなり深くてコクのある音楽です。こんな名曲を知らなかったのは不覚。
休憩を挟んで後半のチャイコフスキー、金木さんの入魂のチェロ、有森さんの気迫のこもったピアノ、花村さんの引き締まったヴァイオリン。この曲は全体に劇的で、チャイコフスキーの師のニコライ・ルビンシュタインを悼む感情が込められた曲なので、ただ淡々と弾いただけでは曲の良さが出てきません。今日の演奏は、音のきれいさより内面的な感情の表出を目指した演奏で、聴き応え十分。特に有森さんのピアノはスケールが大きく、ヴァイオリンとチェロをよく牽引していました。最後に主題が帰ってくるところは心打たれました。
最後にアンコールで、滝廉太郎の「荒城の月」とエルガーの「愛の挨拶」のピアノ三重奏版を演奏。どちらもピアノ三重奏版で聴くのは初めてで、特に「荒城の月」は新鮮に聴きました。
- 3月17日(日)パルテノン多摩 大ホール
桐朋女子中・高等学校オーケストラ第18回定期演奏会
J.バーンズ:「アルヴァマー序曲」
ヨハン・シュトラウス:「春の声」
チャイコフスキー:「くるみ割り人形」より<行進曲>
B.MANILOW, B.SUSSMAN, J.FELDMAN:「コパカバーナ」
A.シルヴェストリ:「BACK TO THE FUTURE」
チャイコフスキー:「弦楽セレナーデ」より第3楽章
J.ウィリアムズ:「11人のカウボーイ」
ボロディン:「交響曲第2番」ロ短調
指揮:関田英二ほか
天気のいい日曜の午後、ぶらっとパルテノン多摩に出かける。大学のオーケストラはたくさんあるが、中学・高校のオーケストラとなると、東京でも10校に満たない程度だそうだ。ステージは制服姿の演奏者で満たされる。総勢約140人。中学と高校が一緒ということもあるが、かなりの大所帯。
「アルヴァマー序曲」は吹奏楽の定番の曲でしょうか。久しぶりに聴いて懐かしい思いがしました。メンバー交代をしながらさまざまなジャンルの音楽を取り込んで進んでいきます。技術的にはしっかりしたもので練習の跡がうかがえます。女子校ということもあるのでしょうか、大音量でガンガン鳴らすということはなく、節度があり上品な演奏です。かと言って、ぎこちない演奏ということはなく、のびのびと演奏しているのが印象的。前半のプログラムの中では、チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」の第3楽章がとても美しい演奏で、聴き惚れました。う〜ん、やっぱりいい曲だな。会場の拍手もとりわけ盛大でした。
さて、後半は珍しいボロディンの交響曲。プロのオケでも演奏頻度はそんなに高くないはず。第1楽章冒頭の印象的な主題、低弦もよく鳴っていてしっかりした演奏です。力強いティンパニもいい。このちょっと不気味な主題、”怪獣現るのテーマ”、と勝手に名付けておきましょう(そんなイメージなのです)。第2楽章は木管がきれい。第3楽章は冒頭のハープと弦のメロディがたいへん美しい。この部分はこの曲の白眉でしょう。第3楽章から続けて第4楽章に入ります。民族的なメロディが展開します。演奏は実にしっかりしたものでした。
余談ですが、プログラムに部員アンケートがあって、「好きな音楽家は?」という問で、第1位宇多田ヒカルに続いて第2位ボロディン、ミスチルとあって、びっくり。ボロディン株が急上昇ですね。でも、正直、演奏はよかったと思いますが、曲自体がいまひとつよく分かりません。第1楽章はよくできていると思いますが、終楽章などはちょっと散漫な気が・・・。
高校2年生は今日の演奏会で部は卒業とのことで、下級生が「もののけ姫」よりアシタカのテーマを演奏。久石譲の音楽はいいなぁ。そして最後にルロイ・アンダーソンの「セレナータ」を全員で演奏。アンコールも選曲がいいですなぁ。
こんな学生生活、やっぱりすばらしいな。いいお仲間をもっているみなさんはしあわせです。今日はすてきな演奏をありがとう。
- 3月31日(日)東京オペラシティ コンサートホール
川畠成道ヴァイオリン・リサイタル
タルティーニ(クライスラー編):「ヴァイオリン・ソナタ」ト短調<悪魔のトリル>
グリーグ:「ヴァイオリン・ソナタ第3番」ハ短調作品45
ラフマニノフ:「ヴォカリーズ」
クライスラー:「愛の悲しみ」
アルベニス:「タンゴ」
ブラームス(ヨアヒム編):「ハンガリー舞曲第1番」
バッハ(グノー編):「アヴェ・マリア」
モンティ:「チャルダッシュ」
ピアノ:ドミニク・ハーレン
川畠成道というヴァイオリニストがいる。最近、セカンド・アルバムの「アヴェ・マリア」を聴いて、他のヴァイオリニストにはない、ユニークな個性を感じた。技術を売り物にする演奏家ではない。正直、CDで聴いても、もっとうまく弾ける奏者はたくさんいるかなと思う。しかし、逆にこれだけ自己を正直にさらけ出せるヴァイオリニストはいない。まっすぐな音。普通の人なら恥ずかしくて隠してしまうような心情の告白が聞こえる・・・。
会場のオペラシティはほぼ満席。今日のチケットも、友人が100枚の追加発売で買ってくれたもの。お客さんは女性が多いなぁ。女性が7割くらいか。こういうアイドル的な演奏家に群がるのは女性のほうが多い気がする。若い人もいるが、おばさんが多い。
さて、開演前、1階席の前のほうに座っていると、突然、拍手が。そちらの方に目をやると、な、なんと、小泉首相ではないか!!こんなところで小泉さんにお目にかかるとは!首相の音楽好きは有名ですが、首相になってもちゃんと自分の趣味の時間(まわりには警護の人がいましたが)を作っているのはたいしたものです。私の席から10mと離れていないところに座って、最後まで鑑賞されていました。
さて、本題。川畠さんが伴奏のハーレンさんに付き添われ(彼は視覚障害があります)、舞台に登場。最初は「悪魔のトリル」。川畠さんのヴァイオリンは、CDで聴いた印象とほぼ同じ。やや線が細いが、ヴィブラートをあまりかけず、直球勝負。次のグリーグのソナタでは、ピアノのハーレンさんの名妓も光ります。特に第2楽章の冒頭の静謐さは絶品。
休憩を挟んで、後半は小品が並びます。印象に残ったのは、「歌の翼」、「ハンガリー舞曲」、「アヴェ・マリア」あたりでしょうか。特に「アヴェ・マリア」。氷のように、つーんと透き通った音。冬の夕闇にすっと浮かんだ月のような美しさ。美しいものには言葉は無用です。瞑想しながら聴き惚れていました。
最後の「チャルダッシュ」ではすばらしい技巧も披露、会場も拍手喝采。アンコールに、ショパンの「ノクターン第20番」嬰ハ短調。これ、好きな曲です。泣けてきますね。続いて、サラサーテの「チゴイネルワイゼン」。川畠さんはマイクを持ってお話をされました。朴訥な話し方ですが、そこここにユーモアがあって、会場も沸きます。極めつけは、「これからも人から、”感動した!”と言われるような演奏をしていきたいと思っています。」と。そう、もちろん小泉さんを意識して。会場は大爆笑。当の小泉さんも嬉しそうに立ちあがって手を振っていました。実は面白い人なんだ、川畠さんは!
最後はバッハの「G線上のアリア」。最後までまっすぐのヴァイオリンでした。思うに、彼のヴァイオリンは玄人好みの音だと思います。決して派手ではありません。しかし、その素直な音が聴いているうちに心にじわじわ染みてきます。地味でもいいから、ずっとその持ち味を失わずに演奏活動を続けていってほしいなと思います。
終演後、ロビーにはサイン待ちの長蛇の列が続いていました。
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