最近行ったコンサート
2002年5月
- 5月18日(土)サントリーホール 大ホール
東京交響楽団第492回定期演奏会
チャイコフスキー:「ピアノ協奏曲第1番」変ロ短調 作品23
西村朗:「東アジア幻想曲」(日本初演)
レスピーギ:4つの交響的印象「教会のステンドグラス」
ピアノ:アレッシオ・バックス
指揮:飯森範親
しばらくオーケストラのコンサートに行ってなかったので、禁断症状が出てきました。何だかホールで大音響を聞いてみたくなって見つけたのがこのコンサート。お目当てはレスピーギです。
当日券でステージ左側2階のB席を購入。お客さんは7,8割の入りでしょうか。ピアノのアレッシオ・バックスさんは、イタリア生まれの方。1997年の浜松国際ピアノコンクールで優勝したのをはじめ、2000年のリーズ国際ピアノ・コンクールでも優勝するなど、まだ25歳の新進気鋭のピアニスト。ピアノ・コンチェルトは、弾き進むうちに、テクニックの完璧さに加え、軽やかだがしっとりとした質量感のある音色に魅せられました。特に高音のピアニッシモの美しさは絶品。これぞこの曲の理想の演奏です。オーケストラも好サポート。指揮の飯森さん共々、熱気が漂い緊張感のある演奏でした。それにしても、何度聴いてもいいですなぁ、チャイコフスキーのピアノ協奏曲は。技巧と叙情がこれだけうまくバランスしている曲はそんなにありません。
会場の熱い拍手に答えて、ラフマニノフの前奏曲をアンコールで演奏。バックスさんはもちろんのこと、飯森さん、オーケストラのみなさんも大満足の演奏だったようでした。
休憩を挟んで、日本の代表的な現代作曲家、西村朗氏の新作。昨年の10月にスロヴァキアで世界初演されているそうですが、日本では今日が初演とのこと。弦の強烈なピチカートで開始。しばらくして日本的な旋律が弦で奏でられますが、その調和は一瞬だけで、打楽器等の激しいアタックによって狂乱の中に埋没します。音楽はさまざまな展開を見せますが、難解と言えば難解。”超現代的”というほど斬新な音はしません。聴覚的にも大音量が適度に気持ちよくもあります。でも、「結局、なんなのだ??」という疑問が最後まで消えませんでした。終演後、西村氏ご本人がステージに上がると、「ブラボー」の声も挙がってましたから、”分かる人には分かる”のかもしれませんが、これから何十年も繰り返し演奏される曲かと言うと、それはないだろうな、というのが正直な感想。(ちなみに西村氏の曲の演奏は、2000年の5月に弦楽四重奏曲第2番を聴いています。)
そしてステージのお色直しの後、お待ちかねのレスピーギ。曲は4曲から成っていて、1曲目は「エジプトへの逃亡」。クラリネットが物憂げなテーマを奏でます(フリギア旋法によるものだそうだ)。続いて弦楽器がテーマを繰り返します。前の曲が緊張を強いる曲だっただけに、この調性音楽の美しいテーマが胸に響きます。やっぱり音楽はこうでなくては!と思います。第2曲「大天使ミカエル」。弦楽器のうねりのような渦の中を金管が勇ましいテーマを奏でます。なんてかっこいいこと!金管奏者にとっては快感この上ないでしょう。それにしてもレスピーギのオーケストレーションの見事さには感服します。天才的と言えましょう。彼は管弦楽法をリムスキー・コルサコフに師事したそうですが、師匠をはるかに超えていると私は思います。ただ色彩的で派手な音楽ならたくさんありますが、彼の音楽には深い叙情があります。第3曲「聖クララの朝の祈り」。夜明けの少し物憂げな情景が目に浮かびます。第4曲「聖グレゴリオ大法王」。低弦の持続する中、金管と打楽器が鐘を思わせる音を刻みます。次第に音楽は膨らみを増し、パイプオルガンが燦然と登場。またまたかっこいいところ!最後はティンパニが刻む中、古代旋法を弦、金管が高らかに奏で、圧倒的な迫力で全曲を閉じます。このスケールの大きさはこの曲の2年前に書かれた「ローマの松」を越えています。オーケストラも最後は巨人が歩くような堂々とした足取りで迫力十分!会場からも大きな拍手。
なんてかっこいい曲なんだ!彼の代表作であるローマ3部作に匹敵するか、あるいはそれ以上の名曲だと私は思います。演奏にはさまざまな打楽器が必要なので、実演の機会はあまりないかもしれませんが、もっともっと知られていい曲だと思います。飯森/東響は、この曲の魅力を余すところなく伝えていました。名演。
最後にアンコールでレスピーギの「リュートのための古代舞曲とアリア」組曲第3番より”イタリアーナ”を演奏。これは弦楽器だけの美しい曲。こってりした料理のあとにさっぱりとしたデザートといったところでしょうか。気の効いた選曲です。
久しぶりのオーケストラ、十分に満足の演奏会でした。
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