最近行ったコンサート
2002年6月
- 6月2日(日)東京オペラシティ コンサートホール
東京フィルハーモニー交響楽団「午後のコンサート」第13回
アイヴズ:「答えのない問い」
ベートーヴェン:「ピアノ協奏曲第4番」ト長調 作品58
マーラー:「交響曲第3番」ニ短調より第1楽章
ピアノ:室井摩耶子
指揮:井上道義
ベートーヴェンの4番のピアノ協奏曲は最近、良さがようやく分かってきた曲で、まだ生で聴いたことがない。井上道義さんもテレビではよくお目にかかるが、生で聴くのは初めて。
最初のアイヴズは弦楽器と木管楽器、トランペットの小さな編成。最初、弦楽器が穏やかな旋律を奏でる。癒しの旋律とでも言えるが、そこへトランペットと木管の不協和音が挿入される。それが何度か繰り返されるが、結局調和することなく、終了する。まさに問いを発するが答えが見つからないまま終了する、といったあんばい。
次のベートーヴェン。ピアノの室井さんは恥ずかしながら存じ上げなかったが、日本のピアノ界の大御所であった。そう、そして今日の指揮者、井上道義さんの小学校のときのピアノの師匠だったとのこと!何と御年、81歳。ステージに現れた室井さんは、歩き方も堂々としていて、背筋もしゃんとしていてとてもそんなお歳には見えません。見た目はまだ60代くらいでしょうか。そして、ピアノのソロで曲が開始。何と温かいピアノなんでしょう。小春日和のお日さまの温かさと言いましょうか。この味わい深い音色は、一朝一夕では絶対に出せないものだと思います。「いい年輪を刻まれているな」と思いました。リサイタルもときどきは開かれているのでしょうか。「ずっと聴いていたい」、そう思わせる心安らぐピアノです。そのあと、井上さんとトークの時間がありましたが、お喋りのほうもピアノ以上にお元気で、とても楽しい方です。
後半はマーラーの3番より第1楽章。この曲は好きな曲で、本当は全部やってほしいところですが、何と言っても長いですからね・・・。第1楽章だけでも30分以上。井上さんの指揮は動きが大きく、分かりやすいですが、音楽もスケールが大きい。東京フィルも彼の指揮に応えて、のびのびと迫力のある音楽を演奏していました。個人的には、東京のプロのオーケストラでは、この東京フィルが一番生き生きとした感じがして好きです。
アンコールは打って変わって、サティのジムノペティ第1番の管弦楽版。お口直しにはちょうどいい曲ですね。ちょっと渋いプログラムでしたが、室井さんの絶品のピアノと、井上さんの熱い指揮、そしてお二人のトークでとても楽しめたコンサートでした。
- 6月16日(日)平塚市民センターホール
平塚フィルハーモニー管弦楽団第11回定期演奏会
ガーシュウィン:「キューバ序曲」
グノー:歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽(7曲)
ブラームス:「交響曲第1番」ハ短調 作品68
指揮:城谷正博
平塚に来るのは何年ぶりだろう。もう20年近く来ていなかった気がする。平塚市民センターは平塚駅から歩いて10分ほど。もうすでに長い列がホールを取り巻いていて、人気の高さが伺える。創立は1991年というから、まだ比較的新しいオーケストラである。
最初のキューバ序曲は初めて聴いた。華やかであるが、あまり印象に残る曲ではない。続くグノーのファウストからのバレエ音楽は、最初の「ヌビア人の踊り」と最後の「フリネの踊り」が一番楽しめた。
後半のブラームスは、実にしっかりした演奏。弦がよくまとまっていて美しい。城谷さんの指揮も無理がなく、自然。ただ反面、もう少しはみ出すものがあってもいいかなというのが感想。各奏者の技術レベルも高く、アンサンブルもいいので、あとはほとばしるようなエネルギーがあったらな、と思いました。むしろ、最後のアンコールにやったハンガリー舞曲第5番が、躍動感があり生き生きとした表情を見せていました。今後に期待することといたしましょう。
- 6月29日(土)サロン・ド・サングリエ(東京都文京区)
ピアノ三田会第1回定期演奏会
1.チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」より<花のワルツ>
2.Girl From Ipanema, Il Giro Del Mondo Degli, Innamorati
Di Peynet(Forse Basta Solo Un Fiore)
3.ショパン:「バラード第4番」
4.ショパン:「エチュード」作品10-5,12<革命>,<黒鍵>
5.ラヴェル:「夜のガスパール」より<オンディーヌ>
6.ノルドグレン:「小泉八雲の怪談によるバラード」より<雪女>,<耳なし芳一>
7.シューマン:「幻想曲」作品17より第1楽章
ピアノ:黒武者康高(1,5),黒沢紀子(1),浜崎慎吾(2),真鍋修二(3),矢野恒徳(4),萩生哲郎(6),山浦真紀子(7)
ピアノ三田会の演奏会は何度か行っているが、定期演奏会と称してやるのは今回が意外にも初めてとのこと。ほとんどの方が音大に行ったわけではなく、趣味でずっとピアノを続けられ、仕事の合間に時間を見つけて練習されています。実にすばらしい。社会人になってからも仕事とは全く関係のない自分の世界を持つことは大切なことだと思います。
今日の演奏会は、全部で3部あったのですが、時間の都合で第2部までしか聴いておりません(上の曲目は第2部までのものです。)また、聴いてからすぐに感想を書くのを怠ったため、印象に残ったものだけ簡単に書きます。(どうかご容赦を。やはり感想はすぐに書くべし。)
最初の「花のワルツ」。ピアノ連弾版も新鮮ですね。演奏者の方はあまり自信なさげでしたが、音楽の流れがなめらかで、美しかった。お隣と手がクロスする場面もあり、これは結婚式などで弾くのに打ってつけでは?これは弾くほうも聴くほうも楽しめる逸品。ショパンの「エチュード」を弾かれた矢野さん。いやあ、圧倒されました。目の覚めるような鮮やかなピアノ。力強さと、繊細さもあり、メロディもたっぷり歌い、もう言うことなしです。経歴は存じ上げませんが、そのままショパンコンクールに出られそう。ノルドグレンの2曲。「雪女」では、ピアノ線を直接指で弾く箇所があるなど、かなり前衛チックな曲。「耳なし芳一」も、ピアノを殴りつけるような激しい音楽。作曲者はお話から得られたインスピレーションを表現したそうですが、この曲を聴いてタイトルは連想できそうもありません。一瞬にして会場が緊張した空気になるのを感じました。
それにしても作曲家、演奏者が変わるだけで、こうも雰囲気が変わってしまうものかと改めてピアノ1台の持つ表現力に感心しました。私には前に座しているグランドピアノが、「さあ、みなさん、私を好きなように料理してください!」とにやりとほほ笑んでいるようにみえました。ピアノ、やはりいい楽器ですなぁ。
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