最近行ったコンサート
2002年9月
- 9月7日(土)大田区民ホール<アプリコ>
東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団名曲コンサートNo.6
スメタナ:交響詩「我が祖国」より”モルダウ”,”ボヘミアの牧場と森から”
ドヴォルザーク:「スラヴ舞曲」作品46より第1番,作品72より第2番(第10番),作品46より第8番
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」
指揮:三石精一
しばらくオーケストラを聴いていなかったので何か聴きたくなった。例年、8月はコンサートが少なく、あっても”親子で聴く名曲コンサート”的なものしかない。9月も後半にならないとオーケストラが動き出さない。
東京ユニバーサル・フィルは初めて聴く。てっきりアマチュアの団体かと思ったら、プロの団体のようである。1997年に発足したそうだが、知名度はかなり低いのでは?(失礼ですが。)今日のプログラムはタイトルの通り、名曲コンサートだが、シェエラザードはまだ生で聴いていなかったので興味があった。
指揮者の三石氏はこのオケの音楽監督とのこと。お名前はアマチュアのオケでもときどき目にするので存じておりました。だいぶ前(1992年頃?)になりますが、町田フィルでブルックナーの4番を氏の指揮で聴いた覚えがあります。さて、最初は「我が祖国」より2曲。モルダウだけでないのがうれしい。モルダウは、わりと速めのテンポでスムーズな音楽運び。ここで三石さんのお話が入りました。曲の解説が中心ですが、けっこう脱線も。あまりうまい話し方とは申せませんが、解説によってより興味を持って音楽が聴けることはよいことです。ボヘミアの牧場と森からは、最初は不気味なざわめきから始まります。その後の展開はなかなか楽しめますが、曲が終わりそうで終わらず、後半はやや冗長に聞こえます。演奏は、素直で見通しが良く、好演でした。
次はスラヴ舞曲より3曲。第1番は躍動感あふれる曲。この曲を聴くと元気が出てきます。打って変わって次の第10番はほの暗い雰囲気を持った曲。そして第2番はまた元気な曲。今日は有名な3曲だけでしたが、ぜひ全曲を生で聴いてみたいもの。
後半はシェエラザード。例によって三石さんの曲目紹介。この曲の背景を初めて詳しく知りました。シェエラザードとは王妃の名前だったんですね。序奏の後、ヴァイオリン・ソロがシェエラザードの主題を奏でます。コンサートマスターの蜷川さん(?)のヴァイオリンがとても美しい。この曲、よく聴くと一つの主題を手を変え品を変え、延々と繰り返しています。普通ならすぐに飽きてしまうところですが、何度出てきてもまだ聴きたいと思わせるところにリムスキー=コルサコフの管弦楽の魔術があるのでしょう。深い内容なんてないですが、音だけで聴き手を魅了させるだけの手腕があったということでしょう。第3楽章の「若い王子と王女」。これは名旋律中の名旋律だと思います。航海する船でまどろんでいるような、くつろいだ優雅な雰囲気。(私はこの楽章をときどき寝るときにかけています。演奏はカラヤン/ベルリン・フィル。)第4楽章もよくできています。
三石さんの指揮は明確で、曲の流れがよく分かる演奏です。聴き手を驚かせたりすることはなく、素直すぎるほど素直。ある意味地味な指揮者かもしれませんが、どんな曲もその曲のエッセンスをうまく掬って表現できる手腕はすばらしいものだと思いました。今日の演奏もとても満足しました。オーケストラもさすがプロだけあって、まとまりがよく、実力を見せられました。
- 9月22日(土)町田市民ホール
町田男声合唱団「マルベリー」第5回演奏会
(1)安倍武明作詞・作曲:「マルベリー賛歌」
(2)ロシア民謡:「赤いサラファン」,「ヴォルガの舟歌」,「ともしび」,「カリンカ」,「トロイカ」,「アムール河の波」
(3)百田宗治作詞/多田武彦作曲:「若しもかの星に」(”若しもかの星に”,”光”,”樹のぼり”,”母の夢”,”海景”,”遠いところで子供たちが歌ってゐる”
(4)ビクターC.セアル編:「黒人霊歌」(@"Deep
river",A"Swingn low, sweet chariot",B"Steal
away to Jesus",C"Were you there?",D"Soon
Ah will be down",E"Nobody knows de
trubble",F"Sometimes Ah feel lak'a motherless
chile",G"Go down, Moses!"
(5)高野喜久雄作詞/高田三郎作曲:「水のいのち」(”雨”,”水たまり”,”川”,”海”,”海よ”)
合唱:町田男声合唱団「マルベリー」(1)〜(3),(5)/東北学院大学グリークラブOB会(4)
指揮:佐川雅夫(1),(3)/鹿内芳仁(2),(5)/ビクターC.セアル(4)
ピアノ:八木智子(2),(5)
合唱の世界もオーケストラと同じくプロもアマチュアも存在する。ただし合唱団はプロは数えるほど(二期会など)で、ほとんどがアマチュアである。(要は合唱だけで食っていくのが難しいから、というのが理由のようだ。)クラシックの声楽曲では必ず合唱団がいっしょになるから、オーケストラの世界と合唱の世界は近いように思うが、どうも雰囲気が違うように思う。私自身も、合唱の世界はほとんど何も知らない。合唱団の演奏会に来るのも今日が初めて。それも、小生の父が最近この合唱団に入ったから来たようなもので、正直、合唱曲は苦手なのである。
最初は「マルベリー賛歌」。この合唱団のための歌があるとは気合が入っている。男声合唱なのでテノール(第1、第2)、バリトン、バスのパートである。総勢40人弱。続くロシア民謡では6曲を披露。4曲目のカリンカがリズミカルで迫力があった。(会場からも拍手が沸く。)「若しもかの星に」は比較的新しい曲だろうか。わりと平明できれいな曲集である。(歌詞はちょっと独特だが。)
後半はゲストとして招待された東北学院大学グリークラブOB合唱団の黒人霊歌。指揮のセアルさんは、当時の先生ということで、高齢で体調も優れないところを今日のために来日したそうだ。脇を団員に抱えられ、ちょっと痛々しいが、演奏はすばらしかった。こちらは50人以上の集団で、低音の厚みが増していて、懐かしい牧歌的なメロディが会場を満たした。黒人霊歌はいいなぁ。
再びマルベリーの合唱に戻り、「水のいのち」。合唱音痴の私もこの曲の題名だけは知っていた。爽やかで美しい曲だ。ピアノパートが単に伴奏ではなく、音楽の一部として書かれているのがいい。指揮の鹿内さんは作曲者の高田三郎氏のお弟子さんとのことで思いもひとしおだったことだと思います。(高田さんは昨年亡くなっています。)
アンコールで、「小夜曲」、「見上げてごらん夜の星を」、「斉太郎節」、「遥かな友に」を演奏。「斉太郎節」は、2団体合同で、総勢100人近く。かなりの迫力。このメロディ、どこかで聴いたことあるなと思ったら、”前は海、後ろはハトヤの・・・”というフレーズで有名なホテル”ハトヤ”のCMの曲ですね。初めて原曲を知った次第・・・。最後の「遥かな友」は、会場のひとも一緒に合唱。みんな歌っていたので有名な曲なのでしょうね。歌詞がとてもいい。短い詩だが、じーんときます。
いや〜、盛りだくさんでなかなかいいプログラムでした。また次回も来ることにしましょう。
- 9月23日(日・祝)昭和女子大学人見記念講堂
世田谷交響楽団第31回演奏会
グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
モーツァルト:「ピアノ協奏曲第21番」ハ長調K.467
ブルックナー:「交響曲第7番」ホ長調(ノヴァーク版)
ピアノ:大沼富子
指揮:小林研一郎
小林研一郎氏がブルックナーを振る。これまで氏はブルックナーは全く演奏していなかったそうですが、最近、チェコ・フィルとブルックナーの8番のCDが発売されるなど、突如としてブルックナーを振り始めた感があります。8番のCDは、チェコ・フィルという名オーケストラを得たこともあり、予想以上によい出来だと私は思いました。(偉そうな感想ですが。)そして今日の演奏会はコバケンさんの日本で初めてのブルックナーの演奏会とのことで、楽しみに出かけました。世田谷交響楽団とコバケンさんの演奏は、1998年9月26日の第22回定期、2000年7月9日の第26回定期を聴いています。(さらに1999年の今日と同月同日に日フィルでグリンカの序曲を聴いていますね・・・。偶然。)
会場は三軒茶屋にある昭和大学人見記念講堂。思えば、私が初めてブルックナーの8番の生演奏を聴いたのはここでした。(確か1994年に東京工業大学管弦楽団の演奏で。)いまは東京にいいホールがたくさんできましたが、サントリーホールができるくらいまでは、この人見記念講堂は東京にある名ホールの一つとして、プロのオーケストラもよく使っていたようです。オイゲン・ヨッフムがアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団とここでブルックナーの7番を演奏したこともありました。(そのときの演奏がCD化されています。)
さて、最初はルスランとリュドミラ序曲。コバケンさんが颯爽と登場。この曲は”いかに速く弾けるか”ということを試すかのように、いわばオーケストラの能力の試金石としてよくコンサートの最初に取り上げられます。世田響の演奏もかなりテンポは速いですが、弦楽器が生き生きと歌っているのが印象的。アンサンブルも完璧で、さすがコバケンさんです。お見事。
次はモーツァルトのピアノ・コンチェルト。大沼さんは北海道在住のピアニスト(アマチュア?)とのこと。この21番は、私の好きな曲の一つ。モーツァルトの曲の中でも最も繊細で可憐な曲の一つだと思います。「晩秋の夕暮れに一人、窓辺で想いに耽る女性」といったイメージでしょうか。大沼さんのピアノは凛として美しいものがありました。ただ、緊張されていたためか、何度か指が止まりそうな瞬間があり、ドキドキしました。カデンツァはリリー・クラウスのものだそうです。(1楽章のカデンツァはかなり短いですが、わりと良いです。)
休憩を挟んで、メインのブルックナー。冒頭は滑らかな立ち上がり。テンポは速めだが、美しい。全奏のところで、金管を思いっきり吹かせるのが少々気になります。吹いている人はかなり気持ちいいと思いますが、鳴らしすぎて音が汚くなってしまいました。その後も音楽流れは実にスムーズで、淀むところが全くありません。でも、金管の強奏は相変わらずで、少々残念。あんなに鳴らしては、ワーグナーのようになってしまう・・・。
第2楽章もテンポが速めで流麗なところは同じです。とても叙情的な楽章なので、この演奏スタイルは合っていると言えるでしょう。プログラムには「ハース版」とありましたが、シンバルとトライアングルが登場したので、「ノヴァーク版」ではないでしょうか?今日の演奏ではこの楽章が比較的よかったと思います。
第3楽章は、きびきびとしたテンポはよい。しかしここも響きがやや粗く、奥行きの薄い感が否めません。第4楽章も弦のアンサンブルがいまひとつ。プログラムに「練習期間が7週間という記録的な短さ」とありましたが、それが影響してしまったのでしょうか。一番最後のコーダで、ティンパニがトレモロするところで、金管に合わせてアクセントを付けていたのは小林流でしょう。
コバケンのブルックナー。期待が大きかったせいもあると思いますが、今日の演奏は全体の流れは良かったものの、”ブルックナーの響き”にはまだ遠い気がしました。でも氏にはぜひこれからもブルックナーをどんどん振っていただきたいものです。ぜひ氏ならではのブルックナーの世界をつくっていただきたいと思います。(偉そうなこと書きましたが、ブルックナーファン、そしてコバケンファンとして応援しています。)
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