最近行ったコンサート
2003年2月
- 2月8日(日)東京オペラシティ コンサートホール
ザ・シンフォニカ 第33回定期演奏会
ボロディン:歌劇「イーゴリ公」序曲
シベリウス:「ヴァイオリン協奏曲」ニ短調 作品47
チャイコフスキー:「交響曲第4番」ヘ短調 作品36
ヴァイオリン:小林美恵
指揮:今村能
今年初めてのコンサートである。しばらく行ってなかったので、そろそろ行きたいなと思っていたところへ友人からお誘いが来た。オーケストラは初めて聞くが、プログラムがよいのでこれに決めた。
最初の「イーゴリ公」は、「ダッタン人の踊り」がとても有名だが、今日はそれではなくて、序曲である。冒頭の重々しい序奏から、流れのいい主部に入る。いかにもロシア風で、耳あたりはよいが、それだけという気もする。う〜ん・・・。
次はシベリウスのヴァイオリン・コンチェルト。生で聴くのは初めて。弦のさざなみに乗って、ヴァイオリンが登場。小林さんのヴァイオリンは最初、やや線が細い印象を受けましたが、音楽への切り込みの深さは相当なもの。全身を使って渾身の力で弓を弾きます。表現に対する意欲をひしひしと感じます。この曲、改めて思いましたが、超難曲です。超絶技巧の連続。もちろん、小林さんの技術はすばらしいですが、彼女の内なる表現意欲は外面的な技術をはるかに超えているように思いました。第3楽章など、とり憑かれたようにヴァイオリンと対峙し、このまま悶絶してしまうのではないかと心配するくらいでした。それにしてもエライ曲を書いたものです、シベリウスは。こんな曲、何度も演奏できません。体力も精神力も持たないでしょう。でも、これは間違いなく名曲です。私が一番初めに好きになったヴァイオリン協奏曲は、このシベリウスです(シェリング盤)。メンデルスゾーンよりもチャイコフスキーよりも、ベートーヴェンよりも完成度が高いと思うって言ったら怒られるでしょうか?
後半はチャイコフスキー4番。冒頭の金管は堂々としていて音もばっちりそろっています。ここを聴いただけで、いままでと違うぞ!と思いました。前半のプログラムも悪くはなかったですが、一部、バランスに問題があって、音が少々汚くなるところがなくはなかったのです。しかし今度は見違えるように、落ち着きと緻密さが感じられます。弦は高音も美しいし、低弦も明晰。ホルンの力強さと美しさも特筆されます。全体にやや速めのテンポということもありますが、線がきちっとそろっていて音が重たくなりません。そして単にアンサンブルがそろっているだけではなく、どこをとっても音楽が内面から沸いてきているのがすばらしいところ。プレイヤーは間違いなく、一流の腕の持ち主ばかりですが、それにおごれることなく高い音楽を求めています。そしてさらにすごいのは、全員が同じ思いで音楽をやっていること。一部の人が熱くなっているのではなく、楽員それぞれが同じレベルで熱いのです。これは指揮者の指導の賜物でしょう。楽器のバランス感が見事です。音楽の構造が見て取れるよう。ここまで音楽を透かしてみせる才能、指揮の今村さんの実力を思い知りました。
第2楽章の木管も美しい。冒頭のオーボエの旋律は何度聴いてもいいですなぁ。ドライな日常生活を送っていると、こういうメランコリックな音楽が胸に染みます。第3楽章のピチカートもよくそろっています。そして終楽章、金管、パーカッションが炸裂。ティンパニの決め方がかっこよくて、快感です。このティンパニ奏者はかなりのテクニシャンです。大音量でも音が汚くならず、熱くなっても構造は壊れず、本当に完璧といっていい。チャイコフスキーは何といい曲をつくってくれたのか、と再認識させる演奏です。最後は加速して堂々と終結。あまりにすごくて目がくらくらしました。この快感は絶対録音からは味わえないもの。このまま死んでもいいやと一瞬思ってしまいました。
いったいどのような練習をしているのでしょう。技術と情熱が見事に融合し、一つの理想を創っていたと思います。人間のすばらしさ、個々の人が持っているポテンシャルの大きさを感じました。人間とはすごい生きものです。
<前の月へ 次の月へ>
クラシックのページ
To TOP