最近行ったコンサート
2003年11月
- 11月1日(土)ノバホール(茨城県つくば市)
ザールブリュッケン放送交響楽団演奏会
ブルックナー:「交響曲第8番」ハ短調
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
近年とみに人気のある指揮者スクロヴァチェフスキ。ARTE
NOVAから出たザールブリュッケン放送交響楽団とのブルックナー交響曲全集は話題となった。演奏は、ブルックナーに限らず、曖昧なところがなく明晰。ところどころ隠し味を用意して、聴き手をはっとさせるところに持ち味がある。クラシック界にあってはどちらかと言えば地味で、玄人受けする存在だが、どんな音楽でも的確にまとめる才能の持ち主。昨年は読響でブルックナーを振ったのだが、あいにく私は行かれなかった。今度は手兵を引き連れての来日。意外にもザールブリュッケン放送響は今回が初来日だという。日本国内数箇所で演奏会があるが、週末に行けるコンサートは、つくば市で行うものだけである。木曜日に主催者に電話したら、まだまだ席は余裕がありますよとのこと。
東京駅から高速バスで約70分。つくば市の中心、つくばセンターに着いた。つくばにはつくば万博のときに来たが、どうも地理的にぴんと来ない場所にある。私にとっては鉄道のない街はしっくりこない。もっともあと2年ほどするとつくば高速鉄道が開通し、東京と一直線で結ばれるという。ここもだいぶ変わっていくのだろう。ノバホールはバス停から3分ほどの便利な場所にある。
会場は大きすぎず小さすぎず、ちょうどよい感じ。楽員が登場。拍手で迎えられる。しかし、会場の座席はがらがらである。特に1階席の前の方は惨憺たる状況。大物コンビの演奏会とは思えない。つくばでは街の規模が小さすぎるのか?私のように東京から来た人も少なくないと思うが、それにしてももっと入っていい。S席でさえ、たった6000円なのに。(東京のプロのオケより安い!)
スクロヴァチェフスキ登場。通称、ミスターS。もう80歳だというが、足取りはしっかりしたもの。第1楽章は比較的オーソドックスだが、紛れもなくブルックナーの音。オーケストラは特別どこかに特徴があるというわけではないが、精緻な演奏をする。放送交響楽団ということで、どんな音楽にも対応できる洗練されたオーケストラと言えるかもしれない。第2楽章は、ヴァイオリンのトレモロが鮮やか。メリハリのある演奏である。第3楽章、弦楽器が闇の音楽を奏でる。今までより音楽がぐっと深くなる。楽員が自ら感じて音を発しているのが分かる。テンポは遅めだが、内容が濃いのでまったく退屈しない。この大きな音楽の宇宙の中に飛び込みたいような、恐いようなそんな気分。
第4楽章はテンポは速め。演奏も第3楽章に引き続きテンションが高い。ティンパニも思い切りがよい。金管もよく鳴るが、必要以上にわめくことはない。全体に楽器のバランスがよいのはスクロヴァチェフスキの特徴だろう。最後のコーダは壮麗だが、テンポの変化があり、かなり速い速度で終結する。最後の三連符はばっさり落とされるような鮮やかさ。簡潔すぎる気もするが、これはこれでおもしろい。
ブラボーの声の中、S氏は拍手を全身で受け、お辞儀をする。演奏に似て、明晰な動作。とても80歳には見えない。まだまだ元気に指揮できるでしょう。楽員が席を立っても、会場の拍手は鳴り止まない。楽員の方も熱い拍手にちょっとびっくりしたような、うれしそうな顔をしている。楽員がステージから消えようかというところ、袖からS氏が出てきました。鳴り止まぬ拍手に応えるため出てきてくれたのでした。
客席は埋まらなかったが、聴衆が良かったのがなによりでしょう。きっとS氏もオーケストラの楽員の方も、満足されたのではないでしょうか。また日本に来てください。
≪前の月へ 次の月へ≫
クラシックのページ
To TOP