最近行ったコンサート
2004年2月
- 2月11日(水・祝)東京芸術劇場大ホール
オーケストラ・ダスビダーニャ第11回定期演奏会
ショスタコーヴィチ:映画「馬虻」の音楽による組曲 作品97a(L.アトヴミャーン編)
(@前奏曲,Aコントルダンス,B民衆の祭日,C間奏,Dワルツ「手廻しオルガン」,Eギャロップ,F序奏,Gロマンス,H間奏曲,I夜想曲,J情景,K終曲)
ショスタコーヴィチ:「交響曲第5番」 作品47
指揮:長田雅人
ダスビダーニャの演奏会に来るのは今日で4回目(1999年、2001年、2002年に続いて)。毎回ド迫力の演奏を聴かせてくれるスーパーアマオケだ。本番前、ホールロビーで室内楽の演奏があるとのことで聴きにいく。(N響みたいだ。ただし座るところはなく、後ろの人が見えないので地べたに座って聴く。)もちろん曲はショスタコーヴィチ。@弦楽四重奏曲第2番イ長調作品68より第1楽章、AA.プーシキンの詩による4つのロマンス作品46より第1曲「復活」(小松聡編)、B弦楽四重奏曲第10番変イ長調作品118より第2楽章。いずれも決して楽しい音楽ではないのについつい引き込まれてしまうことろがショスタコーヴィチの不思議な魅力。Bは交響曲第10番の第2楽章を思わせるような激しく疾走する音楽。若手4人による演奏は大熱演。さすがダスビダーニャ。重い前菜でしたが、ショスタコ好きにはたまりませんね。
さて、いよいよ本番。「馬虻」は1955年に公開された映画だそう。前奏曲は大河ドラマ主題曲のように迫力があって分かりやすい。しかしオーケストラの扱いのうまさはさすがショスタコーヴィチ。ダスビダーニャはいつもながらエンジン全開でただただ圧倒されます。すごい。12曲の組曲にはさまざまな種類の音楽が混在していますが、どれも捨てがたい魅力を持っています。8曲目のロマンスはわりと有名。そして終曲は再びパワー全開。金管の迫力と巧さは特筆ものです。このオーケストラはなぜこんなにすごいのでしょう。技術もかなりレベルは高いが、気合が尋常ではない。やはりみなさん、熱烈なショスタコファン(”ショスタキスト”と言うらしい)なのでしょうか。
後半は交響曲第5番。有名曲ですが、このオーケストラで演奏するのは初めてとのこと。満を持してといったところでしょうか。第1楽章、いまいまでに比べやや慎重な雰囲気でやや硬くなっている気もしましたが、迫力は十分。第2楽章は冒頭の弦の迫力にのけぞりそうになります。第3楽章はやや速めのテンポ。第4楽章は再び迫力の演奏。コーダはテンポをぐっと落とし、堂々たる最後を築きました。全体にダスビダーニャならではなの迫力もあったのですが、いつもに比べ若干かしこまってしまったかな、という気はしました。
しかし次のアンコールがそんな懸念を吹き飛ばしてしまいました。映画「コルジンキナの冒険」から<追跡>。ピアノ・スコアしか残されていないものを何と、ダスビダーニャの団長さん白川悟志さんがオーケストレーションしてしまったそうです。テンポの速い痛快な曲。ショスタコーヴィチの楽しさ全開!金属系打楽器の鳴らし方、途中と最後に入る団員の「ハイ!」というおたけびなどは、傑作です。いやあ、アンコール曲を創ってしまうなんてすごすぎる。そして演奏もすごすぎる。そして最後にもう1回同じアンコールを演奏。今度はお客さんもぜひ「ハイ!」を、というので、私も「ハイ!」って言いましたよ。やったー、ダスビさんの演奏に参加できた!
というわけで、今年も度肝を抜かれてしまいました。いやいや、本当に楽しませていただきました。ありがとうございました。
- 2月14日(土)文京シビック大ホール
水星交響楽団第32回定期演奏会
ベートーヴェン:「エグモント序曲」作品84
ウォルトン:「ヴィオラ協奏曲」
マーラー:「交響曲第1番」ニ長調<巨人>
ヴィオラ:坂口翼
指揮:齋藤栄一
水星交響楽団の演奏を聴くのは今日が3回目(1999年1月、2002年1月に続く)。ホール入り口まで建物の中をぐるっと行列が取り巻いていて、人気の高さが伺えます。エグモント序曲、最後の熱気はなかなかのもの。続くウォルトンのヴィオラ協奏曲は初めて聴きます。独奏の坂口さんの演奏は前回来た2002年の演奏会で、バルトークのヴィオラ協奏曲を聴いています。そのときは、演奏のすばらしさに感動し、さっそくバルトークのCDを買ってしまったほど。
さて、ウォルトンの協奏曲、やはり結構複雑で難解な曲です。途中ジャズっぽいところがでてくるなど、独創性は認めますが、どうもよく分からない。天才的な音楽性という点では、ショスタコーヴィチに引けをとらないと思いますが、難解さをそのまま難解に感じさせてしまうところは随分損をしていると思うのですが・・。それはさておき、坂口さんのヴィオラはやはりすばらしい。音が楽器からではなく、体から出ているような印象。まるで人が話しているかのような生々しさがあります。終了後、アンコールにヒンデミットのヴィオラ・ソナタを演奏。これまた超絶技巧を駆使した凄まじい曲だが、それを演奏する坂口さんは神か悪魔かが取り憑いたような壮絶な迫力。会場も唖然とするほかないといった雰囲気でした。世界に誇れるヴィオリストです。
後半のマーラー。これにもまた驚きました。前半に比べオーケストラの集中度がぐっと増しています。全体的に技術的にかなり巧いこともありますが、それ以上に音楽そのものへ入り込む集中度がすばらしい。これはマーラーのみずみずしい青春の音楽なんだ、ということに改めて気づかせてくれました。少しもの憂い、しかし憧れに満ち、ひたすら前に進んでいくこと、それが青春なんだなと。これだけオケが巧いと、指揮者がどんな感性を持っているかが手に取るように分かります。おそらく齋藤さんもまだ青春時代の憧れの気持ちを持ち続けているのだと思います。そうでなければ、あんなに繊細な音楽が出てくるはずがありません。そしてそれを受け止めて音楽に表現できる楽員のみなさんの感性もすばらしい。第4楽章の激性も十分。嵐の後に訪れる弦の歌は絶品だった。
これだけすばらしいと、どこがよかったとか、どの楽器が巧かったとかいうレベルの話ではなくなる。音楽そのものが心の中に入ってくる。「次のフレーズ、間違えないかなぁ。」とか「ここはうまくごまかそう。」などと余計な邪念が入った瞬間、音は崩れる。全員がそういう邪念を振り払って音楽に集中できるっていうことはそう簡単にできることじゃない。どこに秘密があるのだろうか?
アンコールに演奏された<花の章>もトランペットがとても巧くて美しい音楽。密度の濃い演奏会でした。
- 2月26日(木)サントリーホール 大ホール
オルガン プロムナードコンサート
ヘンデル:組曲「水上の音楽」から<アラ・ホーンパイプ>
J.S.バッハ:「フーガ」ト短調<小フーガ>BWV578
フランク:「前奏曲、フーガと変奏」作品18
メシアン:「主の降誕」から<神はわれらとともに>
オルガン:荻野由美子
神谷町の近くで、とある講習会に参加した。地図を見るとサントリーホールからわりと近い。もしかしてと思いサントリーホールのHPを見たら、何とラッキーなことに今日は月1回、昼時に行われるオルガンコンサートの日であった。12:15〜12:45で入場は無料。以前、2回ほど来たことがある(学生時代に。手元の記録を見ると、1997年5月15日に行っている。)。ホール前のSubweyで軽く昼飯を食べてから入ったので、1曲目のヘンデルは聴けず、バッハの途中から。
平日の昼にもかかわらず、結構人は入っている(500人位?)。壮麗なバッハの次はフランク。初めて聴く曲だったが、思わず聴き入ってしまった。バッハのコラール前奏曲を思わせるような敬虔な音楽。主題のメロディが強く心に残る。荻野さんの演奏もとても真摯で感動した。続いてはメシアン。響きは打って変わって現代的になる。不協和音が、救いを求める叫びのように聴こえる。最後は半ば強制的に調和して終わる。短い時間であったが、フランクの名曲を知ることが出来たのは収穫であった。
さっそく帰りにCD屋をめぐり、渋谷のレコファンで中古を1枚ゲットした(450円也)。フランク・オルガン作品集Vol.2(ARS
MUSICI AM 1060-2)、演奏者はHayko Siemensというドイツの人。録音はそれほどでもないが、演奏は誠実で優れたものである。今日聴いた作品18は、他者の手によるピアノ編曲版も存在していて、CDも出ている模様。確かにこれはピアノで弾きたくなる。フランクのヴァイオリン・ソナタは私の大好きな曲だが、他の室内楽曲はあまりぴんと来なかった。これを機にもう少しフランクを聴いてみよう。
- 2月28日(土)大田区民ホール アプリコ大ホール
ウェストフィールド管弦楽団第16回定期演奏会
ニールセン:序曲「ヘリオス」作品17
シベリウス:「交響曲第3番」ハ長調 作品52
ブラームス:「交響曲第4番」ホ短調 作品98
指揮:今井治人
このオーケストラの演奏会に来るのは3回目。前回は2002年10月。その前は1998年12月。ニールセンの「ヘリオス」は偶然にも先月聴いたばかり。冒頭、低弦に乗ってホルンが高音で出るところはなかなかかっこいい。ニールセンの曲はどうもとっつきにくいが、この曲は比較的分かりやすく、佳曲だと思います。続くシベリウスの3番は、昔、東京工業大学管弦楽団の演奏で聴いた記憶があります。
冒頭は素朴に始まります。第2番を境に大きく作風が変わったと言われるシベリウスの交響曲。第3番には確かに第1、2番のような息の長いメロディは出てきませんが、後年の曲と比べると、複雑ではなく比較的親しみやすい作品だと思います。第2楽章は木管中心の素朴な詩のよう。湖のほとりで静かに風になびく一輪の花を思わせます。第3楽章は舞曲風。全体に素朴で少し地味ですが、シベリウスらしさにあふれた愛らしい作品と言えるでしょう。
後半はブラームス。弦はなかなか美しいが、全体のまとまりがいまひとつ。前半に比べて響きが粗いのが気になります。指揮者の指示するテンポ、流れは自然で、音の出だしもまずまず合っているのですが、響きが収束しません。確かに金管、木管が弦に比べて技術的に厳しいところがあるのかもしれませんが、それをお互いサポートするような感じではない。パート間の仲があんまり良くないのでは、なんて余計な憶測もしてしまいます。個々のプレイヤーは皆さん一生懸命やっているんだと思いますが、お互いを聴く余裕がないのかなぁ。楽員さんの表情もややすっきりしない様子。1年半前と同じく、いろいろ考えさせられるコンサートでした。1998年のショスタコーヴィチ8番はゾクゾクさせられた記憶があります。ぜひまたあの感動を!
- 2月29日(日)大田区民ホール アプリコ大ホール
アイノラ交響楽団第1回演奏会
シベリウス:組曲「白鳥姫」作品54(@孔雀、Aハープ、B薔薇を手にした乙女、C聞け、コマドリが歌っている、D王子は一人、E白鳥姫と王子、F賛美の歌)
シベリウス:組曲「歴史的情景」組曲第1番 作品25(@序曲風、A情景、B祝祭)
シベリウス:音詩「フィンランディア」作品26
シベリウス:「交響曲第5番」変ホ長調 作品82
指揮:新田ユリ
昨日に引き続いてアプリコのコンサート。今日はシベリウス愛好者によって設立されたというアイノラ交響楽団。ショスタコーヴィチ専門のオーケストラがあるならシベリウスもあってもおかしくないが、今日が第1回目の演奏会。プログラムにはフィンランド、ラハティ交響楽団の音楽監督オスモ・ヴァンスカ氏からお祝いのメッセージが載っていて、思いの強さを感じます。
「白鳥姫」は初めて聴きます。最初はけっこう素朴な音楽ですが、4曲目あたりから次第にスケールが大きくなります。フルートの調べはまさにシベリウス。最後の賛美の歌では、交響曲第7番とそっくりなところが出てきてうれしくなりました。やや地味ながら、シベリウスらしさが詰まった作品だと思います。
次の「歴史的情景」と「フィンランディア」は密接な関係があり、後者は前者劇音楽の幕間音楽だったそうです。組曲第1番は、金管のファンファーレ的な表現が印象的。シベリウスの音楽の中では劇的な部類に入るのではないでしょうか。小刻みに駆け出すような弦はシベリウスならでは。3曲に続いて「フィンランディア」。やはりいい曲です。繊細な曲が多いシベリウスにしては実に堂々と自信のある曲です。演奏も密度の濃いものでした。中間部の有名なメロディ、木管がとてもきれい。続く弦楽器もとても柔らかく心がこもっていました。
後半は交響曲第5番。冒頭のホルンと木管が北欧の大地を感じさせます。その後、しばし森の中に迷い込んだような不安な音楽になります。正直、この辺が自分にとってはややとっつきにくい気がします。しかし再び金管の雄大な主題が回帰します。第2楽章は、弦のピチカートが素朴さを醸し出します。第3楽章の弦のトレモロは生命力のようなものを感じます。終結部は一瞬方向を見失ったような少々変わった終わり方。演奏は第1回の演奏ということでやや慎重になったところもあった気がしますが、とても誠実さを感じました。
アンコールは、「アンダンテ・フェスティヴォ」。弦のみ(最後はティンパニも入りましたが)の美しい曲。メロディはフィンランディアとよく似ていると思いましたが、関連はあるのでしょうか?チャイコフスキーの弦楽セレナーデにも似ています。演奏は、これまで以上によく揃っていて美しかった。アンコールにはぴったりですね。そして最後に、「フィンランディア」をもう一度。本番よりものびのびとして、更にいい演奏になっていました。シベリウスの演奏は、相当難しいそうですが、これからも期待しております。(交響曲以外の管弦楽曲だけでも相当数あるので、年1回の演奏であと10年以上は持つでしょうね。)
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