最近行ったコンサート
2004年3月
- 3月7日(日)江戸川区総合文化センター大ホール
江戸川フィルハーモニーオーケストラ第5回スプリングコンサート
ベルリオーズ:「ローマの謝肉祭」序曲 作品9
ベルリーニ:歌劇「カプレティ家とモンテッキ家」より<ああ、いくたびか>
イベール:「アルトサクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲」
ラフマニノフ:「ピアノ協奏曲第2番」ハ短調 作品18より第3楽章
ワーグナー:歌劇「リエンツィ」序曲
リスト:交響詩「レ・プレリュード」S.97
ソプラノ:杉本恵津子
サクソフォン:安井寛絵
ピアノ:川村文雄
指揮:喜多原和人
江戸フィルのスプリングコンサートに来るのはこれで3回目になります。毎年、江戸川区の新人演奏会での優秀者との共演が楽しみなコンサートです。恒例の江戸川区歌に続いて「ローマの謝肉祭」序曲。オーケストラの見せ所の多い曲ですが、前半のイングリッシュホルンの独奏がなかなか良く、後半も指揮者、オーケストラともども気合が入っていて熱演となりました。
次はメインの共演。ベルリーニを歌う杉本さんは、とてもよく通るクリアな声をお持ちです。声量も十分。さらに細やかな表情付けは完璧と言っていいほどで、思わず音楽の世界に引き込まれてしまいました。最高級の音楽です。続くイベールのサックスのための協奏曲は2年前にも別の方が演奏されていましたが、個人的にはクラシックでサックスを演奏する女性奏者を見るのは初めてでとても新鮮な気がしました。小協奏曲の名の通り、短い曲ですが、難易度は相当のようです。演奏は力強く、また中間部では叙情的な音色をたっぷりと聴かせてくれました。全体にこの楽器に対する愛着と自信が感じられ、爽快な演奏でした。続いてラフマニノフ。川村さんのピアノは、どちらかと言えば力強さよりは繊細さを感じさせます。ご本人もおっしゃっていましたが、全曲を聴いてみたいものです。オーケストラはいつも以上に状態が良く、ソリストとの息も良く合っていました。
後半はオーケストラのみの演奏。「リエンツィ」はワーグナー初期の作品で、すでにワーグナーらしさが出ているものの分かりやすく元気な音楽です。金管がここぞとばかり思いっきり吹いているのが印象的。リストの「レ・プレリュード」も後半の盛り上がりは堂々としたものでした。指揮の喜多原さんもいつも以上に気合が入っていました。江戸フィルは元気で健康的なところがいいと思っていましたが、今日はさらに「みんなでいい音楽をやろう」という雰囲気が伝わってきて、気持ちよく聴けました。アンコールのマスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲ものびのびとして美しかった。次回7月は、カリンニコフを楽しみにしています。
- 3月14日(日)所沢市民文化センター ミューズ アークホール
早稲田大学フィルハーモニー管絃楽団第25期生卒業記念演奏会
(1)ブラームス:「クラリネット五重奏曲」ロ短調 作品115より第1楽章
(2)ベートーヴェン:「フルートとバスーンのための二重奏曲第1番」WoO27
(3)ブラームス:「クラリネット三重奏曲」イ短調 作品114より第1楽章
(4)久石譲:「Two of us」〜映画「紅の豚」より
(5)ハイドン:「ヴァイオリン協奏曲第1番」より第1楽章
(6)モーツァルト:「協奏交響曲」変ホ長調 K.297Bより第1楽章
(7)モーツァルト:「フルートとハープのための協奏曲」ハ長調 K.299
(8)ブラームス:「ヴァイオリン協奏曲」ニ長調 作品77より第1楽章
(9)ブルックナー:「交響曲第7番」ホ長調(ノヴァーク版)
クラリネット:金子千焼(1,3,6)
ヴァイオリン:柳瀬貴俊(1),江口恵理(1),中留理恵(5),小林由以子(8)
ヴィオラ:寺本やえみ(1)
チェロ:大嶋啓介(1,3)
フルート:安部麻里亜(2),不破麗(7)
ファゴット:中村匡伸(2,6)
ピアノ:小川絢子(3)
トランペット:山下絢(4)
オーボエ:佐々木有美(6)
ホルン:和田里美(6)
ハープ:奥田恭子(7)
指揮:征矢 健之介
ブルックナーが聴きたくなった。Freudeのページで調べてみると、早稲田フィルが7番をやるのを発見、ホールは所沢で遠いが行ってみることにした。所沢のミューズに来るのは5年ぶり。前回はドリーブのバレエ「コッペリア」を見に来たが、あのときは今日のアークホールではなく、マーキーホールの方であった。アークホールは座席数約2000の実にすばらしいホール。正面にはパイプオルガンが燦然と輝いている。
早稲田フィルを聴きに来るのも実に久しぶり。記憶が正しければ、1994年12月20日の第31回定期でチャイコフスキー「悲愴」その他を聴いて以来、約9年ぶりである。さて、今日のプログラムは盛りだくさんである。13:00に開演、最初は室内楽、協奏曲と進み、メインのブルックナーが始まるのは16:30となっている。みんなブルックナーが目当てなのか、13:00の開演時はお客さんもまばら。しかし、最初のブラームスから充実した演奏が続いた。
いきなりクラリネット五重奏曲とは渋いが、冒頭のヴァイオリンを聴いただけで惹きつけられるものがあった。そしてクラリネットの音色も味わい深いもので、すっかりブラームスの世界に浸ってしまいました。第1楽章の最後は息絶えるように静かに音が消えていくのですが、本当に美しかった。皆さん、すばらしい感性をお持ちです。続くベートーヴェンは、あまり耳にしない曲ですが、モーツァルトのフルート四重奏曲を思わせる爽やかな曲。フルートとファゴットの息もぴったりでした。そして再びブラームス。今度はクラリネット、チェロ、ピアノという編成。クラリネット五重奏曲ほどの深さはありませんが、晩年のブラームスらしい、味わい深い作品。次の久石譲は、小編成のオーケストラとトランペット・ソロ。トランペットが吹き出した瞬間、そのソフトで渋い音色にすっかり惹かれました。かっこいい。このトランペット一つで女性を口説けるのではと思えるほど。第1部最後のハイドンは、典型的な古典派協奏曲といった感じですが、結構凝って書かれています。カデンツァはかなり長い。ヴァイオリンとオーケストラの息はぴったりでした。
ここで15分の休憩。ホールを出たら、向かいの建物で絵の展示即売会をやっていたのでふらりと入る。ユトリロの絵って、そんなに高くないのだな。シャガールの版画なども決して手が届かない金額ではない。かと言って、簡単に手は出せないが。
第2部の最初は、モーツァルトの協奏交響曲は有名なK.364ではなく、K.297Bのほう。でもこちらも素朴な味わいがあって楽しい作品です。1学年で各パートからソリストを出せるなんて、音大ならともかく、普通の大学オケとしては相当なハイレベルだと思います。続くフルートとハープの協奏曲は全曲演奏。フルートの不破さんは決して派手ではないのですが、フルートに対する愛着がひしひしと伝わってきます。思いをすべてフルートに託せる技術と感性をお持ちだと思いました。ハープの安定感のある演奏と相まって、すがすがしい演奏となりました。第2部最後はブラームスのヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリンの方は、少し緊張されていたためかもしれませんが、もう少し決然としたところがあればよかったかなと思います。
予定よりも少し早く終わったため、ここで40分の大休憩。ホールを出て、裏側の航空記念公園を散歩しました。これが実に広い公園でびっくり。広大な芝生の広場ではキャッチボールをする親子、サイクリングする人、ベンチで読書する人、みんな思い思いの休日を過ごしています。ホールに近接する公園で思い浮かぶのは、東京文化会館と上野公園、府中の森芸術劇場と府中の森公園あたりでしょうか。府中の方はとても好きな公園ですが、こちらの公園はそれよりもっと広いです。もっとも広すぎて芝生が荒れてしまっているなど、公園管理が十分行き届いていないところもありましたが。
さて、公園をぐるっとまわって再びホールに戻ります。いよいよブルックナーが始まります。冒頭の弦のトレモロはやや抑えすぎの気もしましたが、主題は力強く出ます。どちらかと言えば速めのテンポ。ヴァイオリンが美しい。金管がちょっとうるさいのが難点ですが、ようやく出番が来た!という気持ちもよく分かります。指揮の征矢さんは、協奏曲を聴いても分かりましたが、鋭敏な耳をお持ちの方だと思いました。とても自然で曲の持つ味をうまく引き出すことのできる指揮者です。あまり重たくならず、流れのよいブルックナーです。第1楽章終結部は迫力がありました。ここは本当にすばらしい音楽です。ヴァイオリンのオブリガートの神々しさ!それにしても、やはりオーケストラがうまい。前半でソリストで出られた方がソロを演奏するので、うまいはずです。フルートの2人の息がぴったりで、のびのびと美しいソロを吹いていたのが印象的。7番のフルートはとても重要であることを認識しました。第2楽章以降は、金管も少し抑えられ、深さが増していました。第3楽章も快活で爽やか。終楽章コーダも、内から出るような自然な爆発。全体にブルックナーにしてはティンパニが控えめでしたが、それが気にならないほど各楽器の音の密度が高かった。指揮者が最後の音を振り終わった後、きれいに残響がホールの空気に溶けていきました。そして拍手。多くの演奏会で、残響が消える前に拍手が起きてしまうのですが、今日は全く起こらなかった。すばらしい聴衆でした。
拍手を受ける団員には涙ぐむ方も。相当練習されたはずです。呼吸がぴったりでした。今できる最高の演奏をされたと思います。ソロをされた方々はこれで卒業なんですね。ぜひ社会人になっても音楽人としてご活躍を期待しています。
ホールの外はそろそろ夜になろうかというところ。少し冷たくなった風を受けながら駅に向かいました。
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