最近行ったコンサート
2004年6月
- 6月19日(土)文京シビックホール 大ホール
文京区民オーケストラ第13回定期演奏会
ビゼー:「アルルの女」第1・第2組曲
ブルックナー:「交響曲第9番」ニ短調
指揮:松下功
アマ・オケがブルックナーをやると知るとつい食指が動く。ぶらあぼで見つけたのだが、別ページを見ると、「本誌をお持ちの方はご招待」とある。つまり無料。随分太っ腹である。もともとアマチュアのコンサートはせいぜい1000円程度で安く、一度アンケートに住所を書くと次回の演奏会の案内が来て無料で聴けるところが多い。採算は大丈夫なのだろうかと心配してしまう。実際、団員の負担はけっこう重いと聞く。商売っ気たっぷりなのも困るが、もう少しお金をとってもいいと思います。(私など安いからアマオケによく行くのも事実なのですが・・。)
さて、最初は「アルルの女」組曲。こうして聴いてみると、「アルルの女」ってあまり聴いたことがありません。組曲第1番のアダージョなど、こんな曲があったっけ?という状態。たしかに素朴で爽やかな曲が多いですが、「カルメン」に比べると随分魅力が薄いかなというのが私の印象です。第2番の「メヌエット」、「ファランドール」はいいと思いますが、そもそも「メヌエット」は「美しいパースの娘」から借用した曲。
さて、メインのブルックナー。ビゼーとは正反対の曲で、どんな音が出るのか少々心配でしたが、冒頭からしっかりブルックナーの音楽になっていました。あまり粘らず速めのテンポ。しかし決して機械的ではなく、リタルダンド、アッチェレランドもとても自然で血が通った演奏。全休止はやや短めで、骨格よりは流れを重視した演奏といえましょう。これは松下さんの持ち味なのだと思います。オーケストラもブルックナーの響きをよく理解されているようで、まったく違和感がありません。金管、特にホルン(&ワーグナーチューバ)がいい音を出しています。オーボエも実に渋くて味のある音です。ティンパニが全般にかなり控えめで、少々物足りないところもありましたが、流れがしっかりしていて見通しのよい演奏なので、これはこれでよいかなとも思います。第3楽章冒頭の弦は、よくまとまっていて、練習の跡がうかがえます。第3楽章は、前半に比べより重心が重くなった感じで、密度が濃かった。
相当快速のブルックナーで細部の詰めという点で物足りないところもありましたが、ブルックナーの心はしっかり掴んでいて好感の持てる演奏でした。
- 6月26日(土)武蔵野市民文化会館大ホール
国分寺フィルハーモニー管弦楽団第28回定期演奏会
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」K.492より序曲
トランペット・アラカルト(@ヘンデル:「水上の音楽」よりアレグロ,Aハイドン:「トランペット協奏曲」より第1楽章,Bフンメル:トランペット協奏曲」より第3楽章,Cケーニヒ:「ポストホルン・ギャロップ」,Dクラーク:「トランペット・チューン」)
レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」
レスピーギ:交響詩「ローマの松」
トランペット:津堅直弘
指揮:岩村力
レスピーギのローマ三部作は、私の愛聴曲である。記憶では、「ローマの松」は”アッピア街道の松”のみ、1997年だったかの東急ジルベスターコンサートで聴いた気がするが、意外にもほかは生で1回も聴いていない。今日は「ローマの祭り」を除く2曲の演奏。
武蔵野市民文化会館に来るのは随分久しぶりである。調べてみると、1999年1月以来、5年ぶり。学生の頃は、3,4回ほど足を運んだ少し懐かしいホール(三鷹駅からちょっと遠いのが難点だが)。国分寺フィルを聴くのは初めて。市民オケらしく、団員の年齢層も幅広い。最初の「フィガロの結婚」序曲。岩村さんの指揮による颯爽とした演奏でしたが、ややオーケストラの精度が粗いところもありました。
続いてN響の主席トランペット奏者の津堅さんによるお話と演奏。ステージの椅子の上に数種類のトランペットが置かれています。最初のヘンデルはナチュラル・トランペットで演奏。素朴で美しい音ですが、吹くのは難しそう。次はバルブ付きで半音も出せるトランペット。フンメルでは現代トランペットとの吹き比べも。ポストホルンでは、普通郵便と速達郵便の音を紹介するなど、とても興味深いステージでした。おまけで大河ドラマ「秀吉」のテーマをピッコロトランペットで演奏。そう、あのかっこいいテーマを吹いていたのは津堅さんだったのです。
休憩を挟んで、いよいよレスピーギ。「ローマの噴水」、冒頭はとても幻想的な音楽で、テンポや間の取り方がとても難しいと思いますが、オーケストラはとても落ち着いています。何より色彩的な雰囲気がよく出ているのがとてもよい。技術的にも難しいと思いますが、そこにとどまらず音楽的な表現を目指しているのがよく伝わってきました。これは指揮者岩村さんの力量でしょう。この美感は、指揮者の中にないと出てこないもの。これをオーケストラ全員から引き出す能力は並みのものではないと思います。
次の「ローマの松」ではますますその思いを強くしました。さまざまな楽器が登場して視覚的にも楽しい「ボルゲーゼ荘の松」。「カタコンバの傍らの松」では、ノスタルジックな旋律をじっくり歌います。舞台裏から吹くトランペットも美しい。「ジャニコロの丘の松」ではクラリネットのソロがとてもいい呼吸感で雰囲気を出していました。そして最後の「アッピア街道の松」。金管、とくにトロンボーンの低音は快感を覚えます。そして客席の両サイドにも金管が登場し、舞台前面から、そして頭上に音が飛んでいく迫力と快感!これこそオーケストラを聴く醍醐味でしょう。こんな音、スピーカからはなかなか聞こえないでしょう。最初は随分デッドな響きのホールだなと思ったこのホールでさえ、この迫力。会場は割れんばかりの拍手。1924年に作曲されたクラシック音楽としては新しい曲ですが、やはりレスピーギはすごい作曲家です。しかもこれだけ豪華絢爛なオーケストレーションでありながら、ノスタルジーを感じさせる独特の叙情性があります。今日の演奏は、そんな叙情性をよく感じさせるいい演奏でした。
アンコールは、ヴェルディの「椿姫」より第1幕への前奏曲。いままであまり気に留めたことはなかったが、なかなかいい曲です。これで終わりかと思ったら、大きなおまけが付いてきました。トランペットの津堅さんが再登場。何と津堅さん作曲のアンコール。しかも「正露丸の主題による4つの変奏曲」という奇妙な題名。そう、あの誰もが知っている正露丸のトランペットの主題を変奏曲に仕立て上げてしまったという珍曲。正露丸の恋やら、下痢君との戦い?などの説明に会場は大受け。冒頭、例の主題をソロで1回吹いたきり津堅さんは袖に引っ込んでしまうというのもおかしい。演奏時間10分弱でしょうか。半分、冗談音楽ですが、いろいろ考えて作られた跡がうかがえる力作。アンコールにするにはちょっと勿体ないくらい。
いやいや、すっかり楽しませていただきました。クラシック音楽の聴衆を広げるには、津堅さん、岩村さん、そしてこのような市民オケの地道な活動がとても重要だと思いました。このコンサート、終わってみればかなり盛りだくさんで、準備は相当大変だったはず。でも、このような愛好者のつながりによって、音楽ファンは自然発生的に広がっていくものだと思います。。だって、難しいこと言わずに楽しいですもん。
次回はまた指揮者も変わるようですが、これからもこのような楽しいコンサートが続いていくことを期待しています。
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