最近行ったコンサート
2004年7月
- 7月4日(日)なかのZERO大ホール
オーケストラHA'MON第11回定期演奏会
バルトーク:「中国の不思議な役人」作品19
ベルリオーズ:「幻想交響曲」作品14
指揮:長田雅人
同じ職場のMさんが所属するオーケストラの演奏会。指揮の長田さんの演奏は、オーケストラ・ダスビダーニャでは何度も聴いていますが、ショスタコーヴィチ以外を聴くのは初めてで楽しみ。バルトークの「中国の不思議な役人」は以前、N響アワーか何かで見て、すごい曲だという記憶があります。長田さんは思ったより長身な方です(ダスビダーニャでは、オーケストラの威力に打ちのめされて指揮者の姿があまり目に残っていなかったかも)。
冒頭から、現代的な響き。1926年の作でこの複雑さ。バルトークの音楽は、密度が濃く、独特の雰囲気で、「何だか凄そう」という感じはするのだが、「でもやっぱり分からない」音楽というのが私の印象。それでも、「管弦楽のための協奏曲」あたりはつかみ所がようやく分かってきたところ。「中国の不思議な役人」は、もともとはパントマイムのための音楽だそうだが、「劇が付いていないから分からない」のではなく、やっぱり分からないなぁ、というのが正直な感想。口ずさめるようなメロディはなく、非常に観念的な音楽という気がする。しかし狂気的な熱いものを確かに感じる。それが共感というところまで私の中ではまだ至らない。それでも最後の約3分(ミュートトロンボーンが口火を切るところ)のフィナーレは、内面的なものが一気に噴出したような異様な光景(地獄絵図のような)が展開され、圧倒されました。会場は、難解な音楽に唖然としていた様子でしたが、オーケストラは大変すばらしい。技術的にも相当うまいが、表現も確信に満ちたものを感じる。長田さんの指揮は派手さはないが、やはりオーケストラをまとめる手腕は相当なもの。
後半は「幻想」。冒頭の木管からして息がぴったり。本当に巧いオケだが、特に弦がすばらしい。ヴァイオリンも音色がきれいに揃っているし、コントラバスも音に芯がある。幻想交響曲は、思いっきり暴れた方が楽しめる曲だと思うが、長田さんの指揮はわりと端正。しかし、オーケストラから出てくる音の真実味というか、音楽との一体感を感じさせる腕前は貴重なものだ。第2楽章の舞踏会の後半は昇り立つような輝かしさで、圧倒されました。終楽章では、クラリネットが気合を入れて難しいパッセージを吹きます。オーケストラのヴォルテージも上がってきますが、全く崩れないのがすごいところ。コーダでは、打楽器が炸裂する中、腰を浮かさんばかりにのめり込む弦奏者もあり、もの凄いエネルギーが放射されました。最後の一撃にはまさにノックアウトされた状態。いやいや、久しぶりにいい幻想を聴かせていただきました。
最後はアンコールで、ビゼー「アルルの女」のファランドール。オーケストラのパワーを見せつけられました。
いい演奏というのは、うまい奏者も必要ですが、うまい指揮者は不可欠だと思います。最終的に音楽の表現を付けるのは指揮者ですから。でも、長田さんの場合は何故か指揮者の存在というものをあまり感じさせません。「指揮者が音楽を創る」というより、「音楽そのものを演奏者に語らせる」ような雰囲気があります。それこそ本当の指揮者なのかもしれません。うれしいことに次回12月の演奏会も同じコンビでやるそうです。しかも、ベートーヴェン7番とブルックナー9番という、すごいプログラム。これは行くしかありませんね!
- 7月11日(日)江戸川区総合文化センター大ホール
江戸川フィルハーモニーオーケストラ第18回定期演奏会
チャイコフスキー:「スラヴ行進曲」作品31
モーツァルト:「交響曲第40番」ト短調K.550
カリンニコフ:「交響曲第1番」ト短調K
指揮:喜多原和人
友人N氏の所属する江戸フィルのコンサート。いつ聴いてもやはり名曲(+名アレンジ)だと思う江戸川区歌の演奏の後、「スラヴ行進曲」。やや暗い雰囲気で始まりますが、曲は次第に劇的に盛り上がっていきます。オーケストラはいつも以上に気合が入っています。金管も力強く、どのパートも集中力が高い。パーカッションの切れ味も鮮やか。正直、ふだんあまり積極的に聴かない曲ですが、チャイコフスキーらしく楽想も豊か、巧みなオーケストレーションで楽しめます。
続いてモーツァルトの40番。名曲と言われながら、演奏会(特にアマオケ)で取り上げられる機会は少ないと思います。私も生で聴くのはたぶん初めてです。冒頭、なめらかに主題が奏でられます。その後の音楽の運びもとてもスムーズ。木管の合いの手も流れによく溶け込んでいます。モーツァルトを演奏するのはかなり難しいと思うのです。頭で考えたとたんに美しさが壊れていくような音楽のような気がします。演奏者も指揮者も、変な邪念を持った瞬間にぼろが出ます。それが今日の演奏ではとても上手くいっています。楽譜をなぞるだけの無機的な音楽でもないし、外面的な格好をつけるような音楽でもありません。喜多原さんのモーツァルトって、いいじゃない、と思いました。(N氏から後から聞いた話では、「トレーナーがよかったから」、だそうですが・・・。)それにしてもモーツァルトを聴いていると、無心になるというか、現実から離れて夢遊しているような、酩酊しているような、えも言われぬ感覚になります。演奏は、美しい第1楽章ときびきびした第3楽章が特によかったでしょうか。
休憩後はメインのカリンニコフ。ここ何年かちょっとしたブームになっている作曲家。1866年のロシア生まれで1901年には亡くなっているので、34歳で夭逝したことになります。代表曲は今日演奏される交響曲第1番。(第2番もあります。)私は1999年6月に、長崎大学・熊本大学・熊本学園大学の合同オーケストラで聴いています。第1楽章が始まってからしばらくのところで出てくるテーマは一度聴いたら忘れられないような魅惑的な音楽です。同じテーマが何度も繰り返され、聴き手の欲求をよく考えた曲作り。チャイコフスキーに勝るとも劣らないメロディメーカーでしょう。中盤以降、主題をがんばって展開させようとするところに少々未熟なものも感じますが、再びあの主題が帰ってくるとほっとします。第2楽章はハープが幻想的な雰囲気を作ります。まるで映画のワンシーンのような甘く切ない音楽。第3楽章のスケルツォも分かりやすく親しみやすい旋律。第4楽章は、第1楽章のテーマが帰ってきます。後半は弦のオブリガートに乗って、金管が主題を奏でます。ここはカリンニコフが相当力を入れて書いた感じがします。30分強の交響曲の終結部としてはちょっと大げさすぎるほど劇的な終わりですが、聴き応えは十分。江戸フィルは、持ち前の明るさ快活さがよく出て、名演になりました。特に最後は気合が入っていました。会場からも大きな拍手。
アンコールはチャイコフスキーの「白鳥の湖」から”ワルツ”。こちらも盛り上がりました。江戸フィルの演奏会を聴くといつも何だか元気で暖かい気分になります。演奏者も聴衆も小難しい顔をしているような演奏会もある中、江戸フィルは演奏者も聴き手も音楽を素直に楽しんでいる雰囲気があります。それはこのような市民オーケストラにとってはとても大切なことだと思います。これからも地域にいい音楽を届けてください。
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