最近行ったコンサート
2004年9月
- 9月4日(土)東京芸術劇場大ホール
東京ニューシティ管弦楽団第37回定期演奏会
ブルックナー:「交響曲第8番」ハ短調(ノヴァーク版第2稿,第3楽章はデルモット・ゴールト、川崎高伸編集の異稿による世界初演)
指揮:内藤彰
ブルックナーの8番は先月聴いたばかりだが、今日の演奏は一味違う。第3楽章は、川崎高伸氏が1999年にオーストリア国立図書館で発見した異稿による世界初演とのことである(*)。ブルックナーに詳しい方であれば、彼の交響曲に複数の版が存在していることはご存知だと思うが、この8番にも大きく分けて第1稿と第2稿の2つの稿があり、さらに後者には校訂者による違う版(ノヴァーク版とハース版)が存在する。ややこしい話だが、要は、ブルックナーが一度完成させた楽譜に手を加えて修正していったために違う楽譜が存在するのである。今日演奏される第3楽章は、時期的に第1稿と第2稿の間に書かれた過渡的な版とのことである。(何日か前の日経新聞に詳細な記事が出ていた。)
東京ニューシティ管弦楽団を聴くのは初めて。会場はほぼ満席。第1楽章、しばらく聴いただけで、いい演奏の予感がします。オーケストラがめちゃくちゃうまい。特に金管はパーフェクトといえるほど強力でかつ美しい。内藤さんの指揮は非常にきめ細かく、小節ごとに細かいニュアンスを付けています。オーケストラはその指示をすべて飲み込み、かつアグレッシブな演奏をします。これだけブルックナーのイメージと違和感のない演奏を聴くのは久しぶりです。こちらは安心にてブルックナーの音楽に浸ることができます。第2楽章はかなり速めのテンポだが、引き締まっていて気持ちがよい。
そして、初演の第3楽章。冒頭からしばらくは第2稿とまったく同じ。4,5分経ったところで違う箇所が出てきます。でもまだほとんど第2稿と同じ。演奏が実に心がこもったもので、瞑想しながら聴き惚れる。中間の全奏でクレッシェンドするところ以降から第2稿と明らかに違うところが出てきてはっとする。むしろ第1稿の音に近いが、第1稿では言いたいことが多すぎて音楽が発散していたところがうまく整理されているという印象を受けた。そして後半のシンバルが登場するクライマックスの前後、第1稿でも第2稿でもない音楽が現れる。いままで聴いたことのないブルックナーの世界を垣間見たような気がしてうれしくなった。見捨てるには惜しい稿である。第4楽章は速めもテンポで生き生きとしている。本当にうまいオーケストラである。技術的にも音楽的にもレベルが高い。コーダは速めだが、最後の三連符をしっかり鳴らし、力強かった。
今日の演奏は、第3楽章の初演ということを除いても十分に価値あるものだった。ぜひCD化していただきたいもの。またこのコンビでブルックナーを聴いてみたいものです。(12月の定期演奏会は別の指揮者によるベートーヴェンだそうです。)いい演奏をありがとうございました。
(*)実はこの版の演奏はオーケストラでは今日が初演ですが、エレクトーンでは蘇演されていてCDにもなっています。(野口剛夫指揮ジャパン・エレクトロニック・オーケストラ、キングレコードSK-2001/02。第9番も収録。)エレクトーンだからといって侮ることなかれ。驚くほどいい演奏です。ご興味のある方はぜひ。
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