最近行ったコンサート
1999年2月
- 2月6日(土)NHKホール
NHK交響楽団第1372回定期公演
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
ピアノ:ギャリック・オールソン
パヌフニク「ノクターン」(1947/1955)
ショパン「ピアノ協奏曲第2番」
ベートーヴェン「交響曲第5番」
最近、ブルックナーの交響曲のCDで名演を聴かせてくれるスクロヴァチェフスキがN響を振るので行ってみた。本命は1/21,22のブルックナーの交響曲第7番であったが、平日なので行くことができず、衛星放送で見た。演奏は期待通りのすばらしいもので、アンサンブルの精度の良さは普段のN響からは滅多に聞かれない出来であった。この人は基本的にテンポは速めで、過度の表現は避けてひたすら正面から勝負するタイプであるが、最大の特徴は、オケを厳しく統制する一方で、個々の楽員から非常に自発的な音楽を引き出す点にあると思う。
朝比奈隆のようなスケールの大きさで勝負する音楽とはかなり違うが、N響からこれだけのびやかな音楽を引き出す能力は並のものではない。どんな練習をしているのか知りたいものだ。とにかく本当に美しい演奏でした。
前置きが長くなったが、この日のメインプログラムのベートーヴェンでも、そのアンサンブルのよさはすばらしいものがあった。例にならって、速めのテンポであったが、音楽を聴きながら、自分が初めてこの曲を知ったのは「バーンスタイン/ニューヨーク・フィル」のレコードだったな、なんてことを思い出したりしていた。
最初のパヌフニクは、現代音楽の範疇に入るが、切々とした表現が印象的であった。悪くない。ショパンはオールソンのピアノであったが、特に第2楽章の美しさは絶品で、テクニックはもちろんであるが、音楽的に完璧と言える演奏であった。オールソンが70年代に録音した2曲のピアノ協奏曲のCDは私の愛聴盤である。なお、指揮者の意向で、一部(特に第3楽章)にオーケストレーションの変更があり、ちょっとおもしろかった。
C席が売り切れだったため、やむなく3階席にしたが、やはりここは音が遠く、演奏を楽しむには無理があった。NHKホールは3階席はないものと考えた方がよさそうである。
- 2月27日(土)東京芸術劇場
オーケストラ・ダスビダーニャ 第6回定期演奏会
指揮:長田雅人
ヴァイオリン:荒井英治
ショスタコーヴィチ バレエ組曲第5番Op.27a〜バレエ音楽「ボルト」より〜
ショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第2番」Op.129
ショスタコーヴィチ「交響曲第6番」Op.54
最近はまり気味のショスタコーヴィチだが、オール・ショスタコプログラムの演奏会があると知って、楽しみに出かけた。このオケ、何とショスタコ専門で、毎年1回、ショスタコオンリーの演奏会を開いているそうである。
バレエ組曲はじつに楽しい曲で、打楽器が大活躍してくれるのもうれしい。それにしてもオケの気合いの入り方がものすごく、みんなショスタコーヴィチがすきでたまらない様子がびしびし伝わってきた。技術的にも非常にレベルが高いし。このオケはすごいと実感。
東京フィル・コンサートマスターの荒井氏を迎えての、ヴァイオリン協奏曲。曲は、難解というより、モノクロの世界で、かなり単調。しかし、荒井氏は技巧的な箇所も余裕かつ情熱的に弾きあげ、見事であった。彼も熱烈なショスタコ・ファンだそうである。盛大な拍手のあと、アンコールがあった。ヴァイオリンとオケのアダージョ風のとても美しい音楽だった。「これはショスタコじゃないな。音楽が素直すぎるもんな。チャイコフスキーか?ん、でも違う?」と思って、休憩時間にロビーに出たら、『映画音楽「馬あぶ」より「ロマンス」』とあった。自分はまだまだショスタコ初心者だなと知りました(^_^;)。実は最近買った「ショスタコーヴィチ・フィルム・アルバム」(シャイー指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団)にこの曲が入っていたのでした。(でも、このときの演奏には"中間部"がついていてもっと長かったと思うけど・・・)
交響曲第6番は、暗く悲痛なメロディで始まる。第1楽章はこの曲の半分以上を占めるが、ショスタコの交響曲の中ではややインパクトが薄いと感じた。第2楽章は打って変わって軽快な行進曲風。第3楽章も軽快。第9番と雰囲気がそっくり。ここでもオケの巧さと気合いの入り方がすばらしかった。(特に好きな曲じゃないのにいつのまにかこの曲のCDが4枚・・・)
そしてアンコール。その音が出た瞬間、私は思わずにんまりしてしまった。私が一番好きな交響曲第10番の第2楽章。まさかここで聴けるとは・・・。4分ほどの短い楽章ですが、何とかっこよいこと。私に「革命」以外のショスタコの魅力を教えてくれた曲です。そして、最後はバレエ組曲第5番の終曲(これも後で知ったのですが)。最初の一撃に始まって、もう打楽器、金管が炸裂!!すごい曲の上に、もう指揮者もオケもパワー爆発!聴衆を圧倒して、拍手喝采。いやいや、すごい演奏会でした。ショスタコ・ファンは感涙ものだったでしょう。プログラムもよく考えられていて、アンコールの選曲もさすがと思わせた。そして圧倒的な演奏。すごい集団です。このオケは。来年も必ず行きます。
それにしてもショスタコーヴィチの演奏を聴くたびに思うことだけど、やっぱりショスタコーヴィチは天才だな。彼の曲は概して暗くて重々しい。その重さは、果てしなく、こちらが息をするのさえはばかれるような沈痛な音楽だ。だけど、その音楽が静かに私の心に忍び込んでくる。そして私はそこに「生きることの重み」を感じるのだ。こんなに真剣な音楽がほかにあるだろうか?彼の音楽を聴くと、「一時一時を真剣に生きよう」という気持ちになる。我々の今の生活は物資的に非常に豊かである。「じゃあ、あなたは充実した人生を送っていますか?」そういう問いをショスタコーヴィチの音楽は我々に投げかけているような気がする。
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