最近行ったコンサート
1999年9月
- 9月15日(水)浅草公会堂
第34回6大学ビッグバンド・コンサート
慶應義塾大学Light
Music Society
法政大学New Orange Swing Orch.
中央大学Swing
Crystal Orch.
日本大学Rhythm Society Orch.
慶應義塾大学M.P.New
Sound Orch.
レディースバンド
明治大学Big Sounds
Society Orch.
早稲田大学High Society Orch.
ピックアップバンド
ゲスト:谷口英治(クラリネット)
今日はいつもとちょっと違うビッグバンドのコンサート。簡単に言えば大編成のジャズバンド。会場は浅草寺のすぐそばにあり、ちょっとぶらぶらしてみたい雰囲気。冒頭から、金管の大音響が炸裂する。ジャズには疎いので、どれが昔の曲で、どれが最近の曲かあまりわからなかったが、午後3時半から8時半まで(!)続いたコンサートをすべて聴き通したのでした。圧巻は最後の早稲田大学とピックアップバンドの演奏。早稲田は音の切れ、各楽器のバランスのよさの点で、他のバンドに比べて抜きん出ていて、ある種のプロ意識が感じられた。
そしてゲストにクラリネット奏者の谷口英治氏を迎えた特別編成によるステージ。おそらく最初は打ち合わせどおりの流れだったと思われるが、途中からドラム、パーカッション、ピアノの即興演奏に。そしていったんステージから消えた谷口氏がおもむろに登場。クラリネットとドラムの白熱した掛け合いが展開した。もちろん楽譜はない。しかし、音楽は破綻するどころか、より密度を増していくのである。プレイヤーがたとえ一瞬でも迷ったらそこで音楽は停止してしまうはずだが、そうはならず、次の音はこうでなくてはならないという判断の積み重ねが音楽になっていくのである。この面白さはクラシックにはないもので(まったくないわけではないが、少なくとも楽譜がある。)、これこそジャズの醍醐味だと納得した。ジャズもはまったら抜けられなくなるんだろうなぁ。
- 9月18日(土)東京芸術劇場
第118回宇宿允人の世界
指揮:宇宿允人
管弦楽:フロイデ・フィルハーモニー
ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調Op.88
ベルリオーズ/幻想交響曲Op.14
宇宿允人のコンサートは5月の「展覧会の絵」以来。最初は「魔弾の射手」。こういう序曲は宇宿さんが得意とするところ。アンサンブルのよさと力強さがマッチしたいい演奏だった。次のドヴォルザークの8番は以前に聴いたことがある。ヴァイオリンが本当に美しく、第3楽章はすばらしかった。ただ、全体的にティンパニが元気すぎて、この曲の持つやや雲がかった美しさが消えてしまったのはちょっと残念。
続いてお待ちかねの「幻想」。やはりアンサンブルがすばらしい。第4楽章、第5楽章は、打楽器、金管が目いっぱい鳴り、本領発揮。第5楽章では宇宿さんにしては珍しく、テンポに変化をつけ、躍動感あふれる演奏だった。宇宿さんの指揮というのは、インテンポを忠実に守るのが基本であり、テンポを加減して味付けすることを滅多にしない。その代わり一つ一つの音にどれだけ表現力を持たせるかということに重点を置く。したがって、ロマン派の曲より古典派の曲の方が向いており、ベートーヴェンは宇宿さんが最も得意とする作曲家である。幻想交響曲は僕の大好きな曲だが、この曲はとにかく派手ではちゃめちゃな演奏がいい。楽譜どおりに演奏するとこの曲の面白みは薄れる。その点で今日の演奏はまずまずよかったと思う。(3年前に聴いた小林研一郎/日大管弦楽団の演奏は今もって忘れられない。)
- 9月23日(木・祝)府中の森芸術劇場どりーむホール
都民名曲サロンシリーズ どりーむコンサート
ピアノ:中村紘子
指揮:小林研一郎
管弦楽:日本フィルハーモニー管弦楽団
グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.18
チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調「悲愴」Op.74
コバケンの悲愴か〜。そう思うと無性に聴きたくなり、出かけた。何を隠そう昨年の私にとってのベストコンサートは小林研一郎指揮世田谷交響楽団の第22回演奏会(1998.9.26/チャイコフスキー交響曲第1番・5番)であった。(というか、1996年も彼の演奏だったなぁ。)
私は当日券を買えたが、やはり人気が高いらしくほぼ満席であった。最初の「ルスランとリュドミラ」序曲から元気いっぱいに始まる。続いて、中村紘子が登場。彼女はテレビでは何度も見ているが、生の演奏を聴くのはたぶん今日が初めて。冒頭からミスタッチも厭わないほどの強い打鍵で、迫力がある。中村のピアノは男性顔負けの力強さと、巧みな緩急のつけ具合が特徴だが、やや力が入りすぎ、遊びやゆとりのようなものがないのがちょっと残念だと思った。小林の指揮はかなり大きなルバートをかける中村のピアノにぴったりと寄り添い、実にみごと。ここまで合わせるには本番前の音合わせの時間量もそうだが、何よりも指揮者が「いい耳」を持っていなければとてもできないワザである。終結部はピアノ、指揮、オーケストラとも実にすばらしかった。中村も大満足な様子だった。
続いて、「悲愴」。僕は終わったあと、突き動かされるように拍手をしながらも、今の演奏の余韻に浸っていた。いま聴いた最後のチェロの音、あれは楽器の音ではなかった。確かに人の声だった。僕にはそう思えた。終楽章、僕の頭はただただ会場を満たす音の中に漂っていた。そこには一切の言葉が介在しない。
小林研一郎。最高の指揮者である。僕は彼の指揮に接するたびに不思議に思う。どこからあんなパワーが生まれるのか?どうしていつも完全燃焼することができるのか?演奏後、「僕は指揮をしているという意識はないんです。ただ日フィルの演奏の流れの中に浸っているだけです。」「悲愴のあとには何もやらない方がいいとおっしゃる方も多いんですが・・・」と挨拶しつつ、アンコールとして「ダニー・ボーイ」を演奏した。彼がどんなに音楽を愛しているかを考えると、本当に涙が出てくる。何と美しいことか。
彼のような指揮者がいる限り、この世の中、まだまだ捨てたもんじゃない。みなさんも機会があれば彼のコンサートに行ってください。
余談ですが、このホールは府中の森公園の一角にありますが、(環境的に上野の文化会館に似てますね。)ヨーロッパ的な雰囲気の広くてすばらしい公園です。今日は初めて秋らしい涼しい一日となったこともあって、少しのんびり散歩してみました。この近くに住みたい!と思ってしまいました。
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